デジタル庁発足式 菅総理「日本全体を作り変えるくらいの気持ちで」
9月1日、デジタル庁が発足した。当日はデジタル庁(紀尾井町ガーデンテラス)と総理官邸をネットワークで結び「デジタル庁発足式」を開催、菅義偉内閣総理大臣、平井卓也デジタル大臣、デジタル監、CxOなどのデジタル庁幹部をはじめ、多くの職員がリモートで出席した。 冒頭、菅総理が「本日、平井大臣のリーダシップのもと、デジタル庁の発足を迎えることができ、大変嬉しく思います。石倉デジタル監をはじめ、約600人の皆さんに参加いただきました。 新型コロナ感染症への対応の中、行政サービスや民間におけるデジタル化の遅れが浮き彫りになりました。思い切ってデジタル化を進めなければ、日本を変えることはできない。 これを強力にリードする司令塔が必要である、こうした思いで、デジタル庁の創設を決断いたしました。 行政サービスの電子化の遅れ、バラバラな国と自治体のシステム、マイナンバーカードの利便性の問題、など、長年、手が付けられず、先送りにされてきた課題が沢山あります。デジタル庁には、政府関係者に加え、民間で様々な経験をされた方々が数多くいらっしゃいます。立場を超えた自由な発想で、スピード感をもちながら、行政のみならず、我が国全体を作り変えるくらいの気持ちで、知恵を絞っていただきたいと思います。 誰もがデジタル化の恩恵を受けることができる、世界に遜色ないデジタル社会を実現する。 こうした決意を新たにし、私からの挨拶といたします」と述べた。 続いて平井卓也デジタル大臣が「先ほど、総理から初代デジタル大臣に任命されました平井卓也でございます。 本日、デジタル庁の職員として600名規模の方々、その中には省庁出身職員だけでなく、デジタル監として石倉洋子さんのほか、民間からも多くの方にお集まりいただき、デジタル庁の発足を迎えられたことを、大変嬉しく思います。振り返ってみればちょうど1年前、昨年9月16日にデジタル担当大臣を拝命して、組織を作るために一生懸命全力で走ってまいりました。今日からいよいよデジタル庁がスタートするということで、責任の重さに改めて身が引き締まる思いでございます。 立ち上げるまでのスピード、スピード&スピードはこれからも続くことだと思っています。時代の変化のスピードが速い中で、デジタル面で日本は相当遅れてしまいました。 世界のデジタルランキングで27位という低迷は何としても脱していかないといけないと思っています。そして、デジタル化によって豊かで選択肢の多い、誰一人取り残さない社会を作っていかなくてはいけない。そういう意味で非常に重い使命を背負っているのがデジタル庁でございます。 先ほど、総理のお言葉の中に『日本を変えるくらいのつもりで取り組め』という言葉がありました。まさにそうだと思います。今こそデジタルを国民のために社会に実装して、次の時代の新しい未来像を引き寄せていくような仕事をしなくてはいけないと思っています。 600人の職員の皆さんは必ずしも大きいサイズではありません。しかし、皆さんが力を出し切れば、相当多くの皆さんにまた協力をしていただき、そして仕事を前に進めることができると思います。その意味で、我々はいよいよ今日から同じ船に乗って、同じ方向に向かって全力で走り続けなければならない、そういう覚悟を改めて皆さんにも持っていただきたいと思います。 我々のミッション、つまり存在理由は、誰一人取り残さない人に優しいデジタル化。 そしてビジョン、これはまさに、スタートアップのように、失敗に学びながら、また多くの人々と交流する中で学びながら新しいやり方を探していくこと。実はデジタル庁がこれから取り組む仕事はお手本になるようなものがあるわけではありません。自ら作らなくてはいけないということなので、スタートアップ企業のような皆さんの取組が必要だと思っています。そして、国民に素晴らしい品質のサービスを、スピード感とコスト意識を持って届けていくこと、これも我々にとって重要な仕事です。 そして最後に、バリュー、これはまさに日々の皆さんの仕事のやり方の中から生まれてくるものと考えています。その意味で、コンプライアンス委員会もデジタル庁に先駆けて27日にスタートしております。皆さんが誇りを持って、そして国民から信頼され、そしてデジタル化のプロセスを透明化することによって多くの共感を得て仕事ができるようにしていかなければならないと思います。 石倉洋子さんにリーダーとなっていただいて、皆さんのやる気をさらに引き出して、このデジタル庁という新しい船は力強く船出していかなければなりません。多くの皆さんの協力がなければデジタル庁の仕事は実現できません。その意味で各省庁や多くのステークホルダーの皆さんの協力を得られるように、我々も全力を尽くしますので、どうかお力をお貸しいただきたいです。そして職員の皆さんも今日から新しい仕事に取り組むこと、そして仕事は自分で考えて自分で作らなくてはいけない面があることを肝に銘じて前向きに職務に精励していただきたいと思います。どうか皆さんの手でデジタル庁を育ててください」と挨拶した。 注目されていたデジタル監に就任した石倉洋子 氏は「本日デジタル監に任命されました石倉洋子です。デジタル庁の創設は世界にも類のない、新しい組織を作る素晴らしい機会だと思っています。このような機会を与えていただいて光栄です。 デジタルというのは、私の理解では色々な境界を越えるというのがポイントだと思っています。デジタルによって国境や距離、組織の境界、年代の境界を越えられると思っています。デジタル庁が色々な意味での境界を越えていくように仕事をしていければと思います。 日本は今までデジタルでパッとしないよねと言われてきましたが、デジタル庁という新しい組織で新しいやり方でやっていくことを世界にアピールできるような機会にさせていただきたいと思っています。 職員の皆さんは世界における日本の地位を大きく変えた、そのプロジェクトに参画したとなると、すごい誇りだと思うし、将来に繋がると思います。そのためには、皆さんのご協力が本当に必要なので、いろんな形で教えていただきたいことが沢山ありますが、一緒にやっていきたいと思っております」と述べた。 発足式後の質疑応答で、石倉に対し、これまでのデジタルとの係りと、今後の取り組み方への質問がされた。これに対し石倉デジタル監は「私はデジタルの専門家ではなく、エンジニアでもないので、デジタルの知識が非常にあるわけでもありません。ただし、新しいことにはやってみたいというタイプで、プログラミングやワードプレスもやりましたし、Pythonにもチャレンジしたのですが、今のところ挫折しています(笑)。 自分ではできませんが、やりたいことはたくさんあるので、どうやってやればいいかを教えてもらたり、やってもらえばいいなあと思っています。それがデジタルのコツというか重要な部分だと感じています」と答えた。さらに、平井大臣も「グローバルに仕事している時に、デジタル抜きで進むものはありません。まさに、デジタルトランスフォーメンション(DX)の司令塔にふさわしい方だと思っています」と述べ、石倉氏の採用に自信を見せた。
この記事を書いた記者
最新の投稿
- 実録・戦後放送史2024.09.02連載にあたって
- 筆心2024.09.022024年8月26日(第7712号)
- 放送ルネサンス2024.09.02放送100年特別企画 「放送ルネサンス」第1回
- 放送2023.09.01ビデオリサーチ 災害情報入手経路の7割が地上波民放テレビ