令和4年度総務省所管予算
3月22日、令和4年度予算が成立した。総務省所管予算では令和4年度予算額が16兆4624億円で、3年度予算額が16兆5952億円だったので1328億円のマイナス(増減率は0・8%減)となった。 『民間におけるDXの加速・低消費電力の実現』で4年度予算額が1018・6億円。その中の『5G・光ファイバ等の情報通信基盤の整備』で72・6億円(3年度当初予算額75・6億円)。そのうち、「5G等の携帯電話基地局の整備促進」で35・7億円(38・7億円)。携帯電話等エリア整備事業では、過疎地等の地理的に条件不利な地域において、地方公共団体が携帯電話等を利用可能とするために基地局施設等を整備する場合や、無線通信事業者等が5G基地局などの高度化施設等を整備する場合に、その事業費の一部を補助する。電波遮へい対策事業では、鉄道トンネルや医療施設等の携帯電話の電波が届かない場所において、一般社団法人等が携帯電話等の中継施設を整備する場合に、その事業費の一部を補助する。主な経費は携帯電話等エリア整備事業15・0億円(令和3年度補正予算13・0億円)。電波遮へい対策事業20・7億円。 同じく「光ファイバ整備の推進」で36・8億円(36・8億円)。高度無線環境整備推進事業では、5G・IoT等の高度無線環境の実現に向けて、条件不利地域において、地方公共団体や電気通信事業者等が、高速・大容量無線通信の前提となる光ファイバ等を整備する場合に、その事業費の一部を補助するとともに、地方公共団体が行う離島地域の光ファイバ等の維持管理に要する経費に関して、その一部を補助する。主な経費は高度無線環境整備推進事業で36・8億円(令和3年度補正予算17・8億円)。 『5G・光ファイバ等の情報通信基盤の整備』のうち、「ローカル5Gによる課題解決の促進」で40・0億円(60・0億円)。地域の企業等をはじめとする多様な主体が個別のニーズに応じて独自の5Gシステムを柔軟に構築できる「ローカル5G」について、様々な課題解決や新たな価値の創造等の実現に向け、現実の利活用場面を想定した開発実証等を行うとともに、ローカル5Gの柔軟な運用を可能とする制度整備や、汎用的かつ容易に利用できる仕組みを構築する。主な経費は課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証 40・0億円(令和3年度補正予算8・0億円〈多数の機器が存在する環境下におけるローカル5G技術実証令和3年度補正予算79・8億円〉)。 「電波の有効利用促進」は401・7億円(431・2億円)。そのうち、「電波資源拡大のための研究開発等」で207・9億円(215・3億円)。無線通信の利用拡大に伴い、電波資源拡大のための技術の研究開発に加え、逼迫する周波数を有効利用するための技術的条件等に関する検討や試験・分析等を実施する。主な経費は電波資源拡大のための研究開発120・7億円、周波数ひっ迫対策技術試験事務73・9億円。「電波の有効利用促進」のうち、電波監視施設の整備等で85・1億円(82・0億円)。電波の発射源を探査するための電波監視施設を整備し、警察無線、消防・防災無線、航空・海上・鉄道無線、携帯電話など重要無線通信への妨害対策をはじめとする不法無線局の取締りを実施する。主な経費は電波の監視等に必要な経費83・1億円。 同じく「総合無線局監理システムの構築・運用等」で87・6億円(98・9億円)。電波の利用者への行政サービスの向上、無線局監理事務の効率化等を目的に、無線局データベース(総合無線局管理ファイル)を基盤とした全国規模の業務処理システムの構築・運用等を実施する。主な経費は総合無線局管理ファイルの作成等に必要な経費87・6億円。 同じく「仮想空間における電波模擬システム技術の高度化」で21・0億円(35・0億円)。無線システムの周波数帯・通信方式等を大規模かつ高精度で模擬可能な電波模擬システム技術を確立するための研究開発及び総合的な技術試験を実施する。主な経費は仮想空間における電波模擬システム技術の高度化21・0億円。 『民間におけるDXの加速・低消費電力の実現』の中で、「超低消費電力を実現するBeyond 5Gに向けた研究開発・戦略的な知財取得・国際標準化の推進」で128・1億円(22・2億円)。そのうち「Beyond 5Gの研究開発」で100・0億円(新規)。Beyond 5Gにおける我が国の国際競争力の確保のため、Beyond 5Gの実現に必要な要素技術(超高速・大容量、超低遅延、超多数同時接続、超低消費電力等)について、民間企業や大学等への公募型研究開発を実施する。主な経費はBeyond 5G研究開発促進事業100・0億円(新規)(令和3年度補正予算200・0億円)。 同じく「戦略的な知財取得・国際標準化の推進」で28・1億円(22・2億円)。ICT分野における研究開発成果の国際標準化や実用化を加速し、Beyond 5Gに向けたイノベーションの創出や国際競争力の強化を図るため、外国の研究機関との国際共同研究開発を戦略的に実施するとともに、5Gの高度化等の推進に向けた国際標準化拠点の機能・体制を整備することで、戦略的な国際標準化・知財活動を促進する。主な経費は戦略的情報通信研究開発推進事業6・3億円、5G高度化等に向けた総合的・戦略的な国際標準化・知財活動の促進9・9億円。 「インターネットエクスチェンジ・データセンターの地方分散によるトラヒック流通効率化」で8・7億円(8・4億円)。インターネットトラヒックの交換拠点(IX)の地域分散によるネットワーク効率化や、インターネットトラヒック発生予測の活用によるネットワーク負荷の分散、データセンター(DC)の地方立地等を促進するための施策を実施する。主な経費はインターネットトラヒック流通効率化等促進事業8・0億円。令和3年度補正予算により措置。データセンター、海底ケーブル等の地方分散によるデジタルインフラ強靱化事令和3年度補正予算 500・0億円。 「グリーン社会に資する光ネットワークの研究開発」で14・0億円(新規)。オンライン化・リモート化の進展や超高精細度映像、AI等の普及に伴う通信トラヒック及び消費電力の急増並びに通信需要の多様化に対応するため、更なる高速大容量化、低消費電力化、高効率化を実現する光ネットワーク技術の研究開発を実施する。主な経費はグリーン社会に資する先端光伝送技術の研究開発14・0億円(新規)。 「AI (多言語同時通訳) ・量子暗号・宇宙ICT等の研究開発」で353・6億円(363・8億円)。そのうち「多言語翻訳技術の高度化に関する研究開発」で12・7億円(14・0億円)。世界の「言葉の壁」を解消し、グローバルで自由な交流を実現するため、「グローバルコミュニケーション計画2025」を推進し、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)を見据え、AIにより会話の文脈や話者の意図を補完した実用レベルの「同時通訳」を実現するための研究開発を実施する。外交・防衛や経済安全保障等の分野において各国情報の円滑な収集を可能とするため、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が有する多言語翻訳技術について、翻訳ニーズの高い言語への対応や専門用語等に対する翻訳精度の向上等を実施する。主な経費は多言語翻訳技術の高度化に関する研究開発12・7億円(グローバルな情報収集等に対応した多言語翻訳技術の高度化令和3年度補正予算60・3億円)。 同じく「量子暗号通信網の構築に向けた研究開発」で27・5億円(34・5億円)。現代暗号の安全性の破綻が懸念されている量子コンピュータ時代において、国家間や国内重要機関間の機密情報のやりとりを安全に実行可能とするため、グローバル規模での量子暗号通信網の実現に向けた研究開発を実施する。世界的な人工衛星等の産業利用に向けた活動の活発化による衛星利用の需要拡大への対応や、衛星通信に対する脅威となりつつあるサイバー攻撃を防ぎ、安全な衛星通信ネットワークの構築を可能とするため、高秘匿な衛星通信に資する技術の研究開発を実施するとともに、国際標準の獲得等による我が国の国際競争力を強化する。社会実装の早期実現を加速化するため、多様な実証を可能とする量子暗号通信ネットワーク(広域テストベッド)を国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)に整備する。多数の衛星を一体的に運用し機能やサービスを提供する衛星コンステレーションにおいて不可欠となる量子暗号通信について、光地上局システムが抱える技術課題を産学官連携によって解決するためのテストベッド環境を国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)に整備する。主な経費はグローバル量子暗号通信網構築のための研究開発12・5億円。グローバル量子暗号通信網構築のための衛星量子暗号通信の研究開発15・0億円(衛星通信における量子暗号技術の研究開発令和3年度補正予算4・8億円、量子暗号通信ネットワークの社会実装加速のための広域テストベッド整備令和3年度補正予算90・0億円、衛星コンステレーションにおける量子暗号通信を実現するための光地上局テストベッド環境の整備令和3年度補正予算50・5億円)。 このほか「衛星通信関連の研究開発・実証」で〔418・2億円の内数(415・1億円の内数)〕。「リモートセンシング技術による高精度データの収集・分析・配信技術の開発及び基盤の整備」(ゲリラ豪雨等に対応した精密観測可能なレーダーの研究開発基盤を国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)に整備するとともに、社会実装に向けた研究開発を実施)は令和3年度補正予算により措置(新規)で、主な経費は防災・減災のためのリモートセンシング技術による高精度データの収集・分析・配信技術の開発及び基盤の整備43・9億円(新規)。
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