石田真敏総務大臣に聞くー通信・放送・郵便システムを海外展開へ
石田真敏総務大臣は、総務省テレコム記者会加盟社による共同インタビューに応じた。石田総務大臣にICT政策、放送行政の基本的考え方と重点政策について聞いた。 ―IoTの積極的な導入によるSociety5.0の実現に向けた注力ポイントについてお聞かせください。5Gへの期待と円滑な導入に向けた対応および電波制度改革推進における具体策、サイバーセキュリティ対策の現状と課題について教えてください。 「5G、Society5.0は不可欠だ。5Gは高速道路、新幹線網というイメージで、それがあるところは発展した。5Gがなければ、企業活動や遠隔医療、住民サービスもできなくなる。地方と都会の格差をなくすために、できるだけ地方からしっかりとやってもらいたい。11月2日に5Gの電波割当方針を示す開設指針案を公表した。2年以内に全都道府県でサービスを開始してもらいたい。活用計画の充実を評価指標としている。全国各地で早期に利用できるように促す内容で、メッシュ化などの取り組みもしている。平成31年3月末頃に周波数の割り当てを行いたい。5Gの利活用アイデアコンテストを開催したところ、785件の応募をいただいた。これを審査して優秀なアイデアを平成31年度の実証テーマにしていきたい。5Gは21世紀の基幹インフラになるので、しっかりと取り組む。是非、5Gを活用していただきたい。電波制度の改正については、電波は国民の共有財産と考え、有効利用していくことが重要だ。総務省の有識者会議でも電波制度改正について8月に報告書をとりまとめた。この報告書では、電波利用料の負担を適正化すること、あるいは周波数の経済的価値を反映した割当手続きの導入などが提言されているので、これを踏まえて、周波数の割当制度や電波利用料制度の見直しについて、具体的な精度化を図るべく、電波法改正などの取り組みを推進する。サイバーセキュリティは、Society5.0を進めていく上で重要で、サイバー攻撃が2015年比で2017年に2.8倍、またセキュリティ人材が2020年に19万3,000人不足するといわれている。そこで、総務省では4つの取り組みをしている。まず、IoT機器の脆弱性調査の実施、利用者への喚起をはじめとした官民連携によるセキュリティ対策の推進、次に不足する人材の育成、3つ目に研究開発の推進、4つ目に国際連携の推進を行っていく」。 ―ICT分野の技術戦略・研究開発推進方策の現状と今後の政策展開について教えてください。 「総合イノベーション戦略が6月に閣議決定したが、Society5.0の実現に向けた取り組みを政府全体で行う。Society5.0は狩猟、農耕、工業、情報に次ぐ第5の社会ということで、パラダイムシフトが起きるという象徴的な言葉である。第4次産業革命といわれているAI、IoT、ビッグデータ、その基盤となる5G、『みちびき』のような空間、そうしたあらゆる革新的技術を利用して様々な分野で応用していく。結果的に出来上がる社会がSociety5.0である。これからの進化に対応することが重要だ。NICTが開発した多言語翻訳機『VoiceTra』は進化を遂げている。日英中韓の4ヵ国語でTOEIC 800点レベルの翻訳が可能だ。2019年度中にはさらにインドネシア、タイ、ベトナム、ミャンマー、スペイン、フランスの6言語も同レベルの翻訳が可能になる。例えば、インバウンド対策では、どんな地方においても通信さえ整っていれば、10ヵ国の人に対応できる。いま外国人受け入れの問題もあるが、ある程度の言葉はそれで対応できる。言葉の壁がなくなりつつあり、2030年頃になると、同時翻訳レベルまでいくだろうといわれている。また、総務省で取り組んでいる『異能ベーション』プログラムは、すべての都道府県から応募があり、本年度の応募総数が1万件を超えた。一般的にも『異能ベーション』に対する認識が深まってきた。12月、ICTのこれからの研究開発・社会実装、さらに海外展開を進めるための戦略を議論するため、デジタル変革時代のICTグローバル戦略懇談会を開催した。広い分野の皆さんから示唆に富む提言があった。数ヵ月後にまとめていただき、その報告を踏まえてしっかりとやっていきたい」。(全文は1月1日号に掲載)
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