豊嶋電波部長インタビュー

 電波は、携帯電話やテレビなどの身近なものから、警察、消防・救急、航空、船舶、防災など公共性の高い無線通信、さらには医療、交通、ドローン、ロボットにまで利活用されて、社会基盤の構築にあたって重要なものとなっている。今、注目を集めているのは5Gの次の世代である『Beyond 5G』(いわゆる6G)の推進戦略だ。『Beyond 5G』は、2030年代に導入される次世代の情報通信インフラであり、あらゆる産業や社会活動の基盤となることが見込まれている。5Gの特長である「高速・大容量」、「低遅延」、「多数同時接続」の機能を更に高度化することに加え、新たに「超低消費電力」、「通信カバレッジの拡張性」、「自律性」、「超安全・信頼性」などの機能の実現が期待されている。「電波の日」にあたり、総務省総合通信基盤局の豊嶋基暢電波部長に『Beyond 5G』推進戦略をはじめ「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」、携帯電話を上空で利用する際の技術的条件の拡大に関する検討など電波行政全般の取り組みについて話を聞いた。――総務省では、5Gや光ファイバー等のデジタル基盤の整備を促進するため「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」を策定して取組を進めていますが、現在の5Gの整備状況の詳細についてお聞かせ下さい。また、先日、「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」の改訂版が公表されました。ワイヤレス・IoT(5G等)及びNTN(非地上系ネットワーク)のパートに関してそれぞれポイントをご説明ください。 豊嶋 岸田内閣の最重要課題であり、地方からデジタルの実装を進め、活力ある地域づくりを目指す「デジタル田園都市国家構想」の実現に向け、総務省では、2022年3月に「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」を策定し、5Gの人口カバー率を2025年度末までに95%、2030年度末までに99%にする目標を掲げ、整備の加速化に取り組んできました。 5Gの整備状況は、2022年3月時点で人口カバー率93・2%となっており、順調に整備が進んでいますが、インフラ整備計画策定後も、我が国を取り巻く社会情勢は変化を続けており、地方におけるデジタル活用の重要性が高まるなど、デジタル田園都市国家構想の実現に向けて、デジタル基盤がますます不可欠なものとなっていることから、インフラ整備の取組を一層強化する必要があります。このため、本年4月にインフラ整備計画を改訂しました。(全文は6月1日付け8面に掲載)