「ポストコロナ」時代のデジタル活用 総務省
総務省では、「「ポストコロナ」時代におけるデジタル活用に関する懇談会」(座長・村井純慶應義塾大学教授)を開催してきた。このほど、本懇談会において報告書が取りまとめられた。本懇談会では、「ポストコロナ」時代におけるデジタル活用に関し、新たな日常の確立と経済再生・地域活性化の実現の観点から、中長期的な展望を視野に入れつつ、今後必要となる取組について検討を進めてきた。今後講ずべき取組として、国民へのデジタル活用浸透に向けた支援強化、企業・行政等のデジタル変革の推進、安心・安全で信頼できるサイバー空間の確保、高度かつ強靱な情報通信環境の構築、最先端デジタル技術への戦略的投資の推進とグローバル連携の強化を掲げている。『国民へのデジタル活用浸透に向けた支援強化』で記した取組の方向性は次の4点。 ①包括的なデジタル活用支援推進事業への取組=デジタル活用支援推進事業の全体構想と事業の実施計画を策定した上で、携帯ショップのスマホ教室や郵便局の空きスペースなど既存のリソースを効果的に活用しつつ、助言・相談の場を求める方々に十分な支援が届けられるよう周知・広報、標準教材等の作成、デジタル活用支援を実施する側の人材を確保するための人材育成、デジタル活用支援の実施ガイドラインの作成、 行政との連携など、包括的な取組を進めることが求められる②若年層向けリテラシー施策のオンライン化・情報共有=eネットキャラバンや地域ICTクラブなどの 若年層向けデジタルリテラシー施策について、オンラインでの実施を可能にし、かつ、地域横断的にノウハウの共有やニーズ・シーズのマッチングを行うための環境整備を行うことが求められる③若年層から高齢者へのデジタルリテラシー共有の仕組み構築=若年層向けリテラシー施策によって学んだ利用者が、地域の高齢者に対してデジタル活用について教える機会を創設したり取組意欲を喚起したりすることが求められる。これにより、学んだ内容の定着や実践を促進するとともに、地域におけるデジタル活用支援の担い手として育成することが可能となる④偽情報・誤情報に騙されないためのリテラシー向上支援=偽情報・誤情報については、メディアやNPOなどによるファクトチェックの取組の推進と合わせ、情報の受信者である利用者がそれらの情報に騙されないためのリテラシーを身につけるための対策が求められる。 『企業・行政等のデジタル変革の推進』で記した取組の方向性は次の6点。 ①データ連携を促進する取組=各組織が保有するデータの流通を促進し、新たな価値を創出するため分野横断的なデータ流通に取り組む必要があることから、例えば、パーソナルデータの流通・活用について、本人関与の下でデータ利活用を促進する仕組みとして、情報銀行やPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)などのデータ連携を促進する取組の検討を深めるデータ連携を促進する取組の検討を深めることがことが必要である②企業・行政等におけるデジタル人材の確保=企業や行政等におけるデジタル人材の確保策、例えば求められる人材の専門的スキルを証明するための認定スキームや当該スキルの獲得・維持に必要な研修制度等の仕組み、必要な専門性を満たす人材をマッチングできる仕組み、それぞれの組織におけるデジタル人材の活用・位置付けの在り方等のベストプラクティスの共有などについて、具体的方策を検討するための場が必要である③ローカル5Gの普及展開=様々な分野・場面におけるローカル5Gの導入を推進していく観点から、官民間の行政情報の交換・連携や、全国的な普及啓発活動に加え、制度に関する検討などの普及展開に向けた取組を行うことが求められる④5Gソリューションの共有の仕組み構築=5G時代における企業DXの推進のため、ローカル5G等の開発実証を進めつつ、その成果等を含むソリューションを、企業や行政等が利用しやすい仕組みを構築することが求められる⑤eKYCの安全・信頼性の確保及びeKYC活用のユースケースの拡大=デジタル空間での安心・安全な民間の取引等において必要となる本人確認について、公的個人認証サービス(JPKI)の利用に加え、本人確認手法の一つであるeKYC(electronic Know Your Customer)を提供する事業者の安全・信頼性の確保の在り方等について、具体的方策を検討するための場が必要である。また、eKYCを活用したユースケースについて金融及び携帯電話サービス以外の分野等への拡大を図ることが求められる⑥良質なテレワーク定着に向けての施策の見直しと新たな取組の推進=主として出勤抑制の手段として一時的に普及したテレワークについては、既存のデジタルツールを積極的に活用することにより様々な課題を解決できることや、生産性の向上やDXの推進、有能な人材の確保など、企業等の経営層にとっても様々な効果をもたらし得ることなどが期待できることから、「『ポストコロナ』時代におけるテレワークの在り方検討タスクフォース」の場で、良質なテレワークの定着に向けて施策を見直した上で、新たな取組を推進する。 『高度かつ強靱な情報通信環境の構築』で記した取組の方向性は次の6点。 ①ブロードバンドの整備・維持=希望する全ての地域でデジタル社会の最重要基盤となるブロードバンドが利用できるよう、早期の全国展開に向けた取組を進めるとともに、ブロードバンドのユニバーサルサービス化に向けた検討の取りまとめを行い、所要の措置を講ずることが求められる。また、ブロードバンド基盤の担い手に関して「公」から「民」への移行の推進に取り組むことも求められる②通信トラヒックの混雑緩和=「新たな日常」の定着により急増するインターネットトラヒックに対応するため、大規模なイベントトラヒックに関する配信情報を事業者間で事前共有する仕組みの構築等、通信事業者とコンテンツ事業者間の連携強化に取り組むことが求められる③IXの地域分散・データセンターの最適配置=インターネットのネットワーク構造の非効率の解消や都市部の災害時を想定した耐災害性強化のため、東京・大阪に集中するIX(トラヒックの交換拠点)の地域分散を図るとともに、地政学の視点を踏まえたデータセンターの国内立地・最適配置を促進することが求められる④安心・安全で信頼できる通信サービス・ネットワークの確保=自然災害やサイバー攻撃等のリスクの深刻化、情報通信ネットワークの産業・社会基盤化及びその構築・管理運用の高度化・マルチステークホルダー化の進展等を踏まえ、通信事故の調査機能の強化等、事故報告・検証制度の見直しや、電気通信事業者におけるサイバーセキュリティ対策及びデータの取扱いに係るガバナンスの強化に取り組むことが求められる⑤DX時代の周波数帯域の確保=有限希少な電波の有効利用に向けて、国際的な動向やニーズも踏まえながら、高周波数帯の開拓やダイナミック周波数共用の推進等を通じて必要な周波数帯域の確保に取り組むことが求められる⑥新たな需要を喚起する5Gの国内整備の推進=超高速・多数同時接続・超低遅延を実現する5Gが新たな需要を喚起することを見据え、5G投資促進税制等により安心・安全でオープンな5Gの国内整備を推進することが求められる。
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