関東総通局、小山市で「SNS安全教室」を開催

 総務省関東総合通信局(黒瀬泰平局長)は、SNS安全教室実行委員会及び関東ICT推進NPO連絡協議会、栃木県警察本部サイバー犯罪対策課、特定非営利活動法人日本ネットワークセキュリティ協会、独立行政法人情報処理推進機構、小山市立中央公民館との共催により、「SNS安全教室」を9月30日(日)午後1時から小山市立中央公民館の第一研修室(栃木県小山市中央町1―1―1)で開催した。 後援はケーブルテレビ株式会社、下野新聞社、栃木市教育委員会、小山市教育委員会。 関東総合通信局は、関東ICT推進NPO連絡協議会とともに、ICTを活用して地域課題の解決、地域の情報化を推進する活動を行うNPO団体等に対し支援・協力を行っている。現在、急速に普及するスマートフォンは、ウェブサイトや動画、SNS等が容易に利用可能である反面、ネットいじめ、振り込み詐欺などのネットトラブルも多数発生しており、インターネットを安心安全に利用するための知識が国民一人一人に必要になっている。このため、こうしたネットトラブルの被害者にも加害者にもならないように、インターネットを安心安全に利用するためのSNS安全教室を開いたもの。 冒頭、主催者挨拶を総務省関東総合通信局の山下朝文情報通信部長が行った。「皆さん、スマートフォンなどを操作してSNSをやられている方が大半ではないかと思います。ところで、芸人さんでSNSの使い手とされる人がいます。ノンスタイルの井上祐介さんでツイッターやフェイスブック、インスタ、ブログなど書いていて、たくさんのSNSを使って自分の芸人活動を情報発信している。ネガティブなことが書き込まれると、井上さんはそれを良いことにして返す。ポジティブ返しと呼ばれていて、そこが非常に人気となって、ICTを使いこなしているクリエィテイブな芸人と総務省では呼んでいる。ひとり一人がSNSを使って個人で情報発信することでいろいろなことが変わってきた。ひとつはユーチューバーという存在。もうひとつは個人が情報発信することで社会を動かすようになった。世の中の動きを変えるようになってきた。その前提となるのはSNSの安心な使い方、正しい使い方、そういったものをきちっと身に付けて初めて健全なるネットワークの社会となる。今日はSNSの安心な使い方、正しい使い方、セキュリティ対策などを学んでほしいと思います」と述べた。 続いて、SNS安全教室開講にあたって(演題:「SNS安全教室」の必要性について)NPO法人栃木県シニアセンターの大沢十八氏が講演した。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の各種資料を基に講演した。まず、同NPO法人について「NPO法人栃木県シニアセンターは1999年9月設立。主な活動内容はICT推進事業や中高年齢者の自主自立支援事業、各種ICT講座受託事業、インターネット安全教室、地域まちづくり推進事業」と紹介した。「SNS安全教室の必要性については、座間市事件のようなSNSを利用した事件の多発傾向、特にネットで集まった若い世代。そしてSNSを悪用した詐欺事件、有名企業を装った偽メールなどの多発。パスワードの抜き取り事件、ウイルス感染でのネットワーク混乱や麻痺事件といったことがSNS安全教室の必要性の背景にある。事件に子供たちなどが巻き込まれないよう地域でこういう安全教室を開くことは重要だ」と述べた。座間市事件を受けての安全教室の役割については、SNS等における自殺に関する不適切な書き込みへの対策、インターネットを通じて自殺願望を発信する若者への心のケアに関する対策、インターネット上の有害環境から若者を守るための対策が挙げられる。政府は座間市における事件の再発防止に関する関係閣僚会議を開催。その中『教育・啓発・相談の強化』の一例ででインターネット安全教室への参加について書かれている」と話した。青少年インターネット環境整備法(事業者・団体により書き込み削除の強化等)についても触れた。総務省のインターネットトラブル事例集」も紹介した。 続いて具体的な講座に入って「SNS安全教室」(演題:SNS悪用・通販詐欺・パスワード設定など)でNPO法人栃木県シニアセンターの高橋功氏が講演した。トラブル事例のドラマ仕立ての動画を見せたり、安全教室クイズを出題するなどわかりやすい説明を行った。主な内容は▽SNS利用時の心得▽写真のアップには注意▽パスワードの管理▽ウイルス対策のポイント▽不正請求時の対応▽ネット家電やカメラに注意▽ネットワーク中継するルーターの管理▽インターネットカメラでのぞき見に注意▽情報セキュリティに困ったら。講演の中からいくつか〝心得〟を挙げると「ソーシャルメディア利用時の心得」は友達以外にも見ていることを意識する、一度発信した情報は取り戻せないことを知る、ネットは匿名ではないことを知る、「今度会いましょう」には答えない、個人情報の書き込みは最小限に、公開範囲を最小限に―とのことだ。特に写真のアップには注意が必要。写真には場所の情報が含まれており待ち伏せされた事例もある。 一方、推奨されるパスワードとは何だろうか。できるだけ長く、複雑に、使い回さない。コアパスワードの作成と、サービスごとに異なるパスワードの作成も重要だと話した。そして2段階認証によるセキュリティ強化も良いと述べた。 ウイルス対策のポイントも掲げた。現在はインターネットにつながる家電が家庭にあって、ファームウェアの脆弱性についても説明して、インターネットカメラでのぞき見の事例も脅威だと話す。最後にIPAの「情報セキュリティ安心相談窓口」を紹介した。 続いて「サイバーセキュリティについて」(演題:「実際に発生している犯罪・事件など」)と題して、栃木県警察本部サイバー犯罪対策課の藤田充宏氏が講演した。サイバー空間の現状、サイバー犯罪の実例、サイバー犯罪(特にSNS利用)の被害に遭わないために―の3項目で講演した。同氏は「今日のポイントは『万全なセキュリティ対策はありません!。被害に遭わない自信はいりません。被害に遭わないための意識が大切です」と強調した。 そして、内閣府による世論調査「治安に関する世論調査結果」(平成29年11月公表)を紹介。それによると「自分が不安を感じる犯罪は何ですか?」と聞いたところ「インターネットを利用した犯罪」がトップだった。栃木県内も含めてサイバー犯罪被害では、企業ホームページ改ざんやランサムウェア、不正アクセスなどが多く発生しており、その検挙状況をみてもインターネット詐欺関係が増加しているという。 続いて、サイバー犯罪の実例としてランサムウェア感染のデモンストレーションを行った。遠隔操作アプリを利用したストーカー犯罪被害事例も紹介した。 サイバー犯罪の被害に遭わないために―では、SNS利用の犯罪被害、被害防止に向けて実態を知ることなどを示した。自分と家族を守るためのSNSとの付き合い方では「プロフィールに個人情報を記載しない。公開できる範囲を設定すること。見知らぬ人と安易に友だちにならない。現実に会おうとする人には要注意。個人が特定される情報を投稿しない」といった注意点を挙げた。そして『犯罪被害を防止するために』基本的な事項は①システムを最新にアップデートする②ウイルス対策ソフトを利用する③安易にアプリをインストールしない④重要な個人情報をスマホに保存しない―の4点とした。 質疑応答の後、お笑いで学ぶ「SNS安全教室」(栃木落語会の岩船亭服地氏)が行われた。