総務省、デジタル簡易無線高度化で制度整備

 総務省では、自動的にまたは遠隔操作によって動作する簡易無線の利用実現に向けた情報通信審議会からの一部答申(令和4年11月)を受け、また、近年の簡易無線の利用増加への対応としてデジタル簡易無線が使用する周波数(上空利用を含む)を追加するため、デジタル簡易無線の高度化に係る電波法施行規則等の一部を改正する省令案等を作成した。意見募集を2月13日(月)まで行っている。当該省令案等については、公募意見及び電波監理審議会の諮問に対する答申を踏まえ、速やかに改正等を行う予定。 また、周波数再編アクションプラン(令和4年度版)に基づき、1・2GHz帯アナログ方式の画像伝送システムの新たな免許取得が可能な期限を令和9年度末と定める電波法関係審査基準の改正案についても併せて意見募集を行っている。 陸上無線通信委員会報告「自動的に又は遠隔操作によって動作する簡易無線の技術的条件」について」の概要は次の通り。 検討の背景は次の通り。 簡易無線局は、簡易な事務や個人的な用務を行うため開設されており、小電力の自営系で最も普及している無線電話システムである。簡易無線局の局数は、平成23年度末の約75・6万局が令和3年度末には約141・7万局と、この10年間でほぼ倍増している。特に、平成20年8月に導入されたデジタル簡易無線の登録局は、全国では平成23年度の約6・6万局から令和3年度には約74・8万局と11倍以上に増加している。音声通信だけでなくIoT分野でのデータ通信にも活用されており、さらに近年、建物内外等における不感地帯解消のニーズが増加している。また、デジタル簡易無線では、音声通信だけでなくIoT分野でのデータ通信にも活用されているところであり、さらに近年、建物内が員における不感地帯の解消ニーズが増加している。こうしたことから、自動的にまたは遠隔操作によって動作するデジタル簡易無線の高度化について、必要な技術的条件を検討する。 自動的にまたは遠隔操作によって動作するデジタル簡易無線(免許)の仕様は次の通り。例えば、中継利用時は、無線機の近傍に操作者がいない無人運用も想定される。簡易無線は無線従事者資格のない者が利用者であることを考慮すると、自動的にまたは遠隔操作によって動作するデジタル簡易無線には、次の技術的条件や機能を有することが望ましい。 周波数は中継動作を行うものは467MHz。通信方式は半複信方式(既存の通信方式に、中継利用時に対応するため半複信方式を加える)。周波数離隔は2MHz~10MHz(2週波半複信)。空中線電力は5W以下。呼出名称記憶装置は不要(電波の発射後、呼出名称記憶装置に記憶した呼出名称を自動的に送信するもの。ただし、通信の相手方の呼出名称をそのまま送信すること)。キャリアセンスは不要。自動的にまたは遠隔操作によって動作する場合に具備すべき機能は障害検知・停止機能(自局の障害を検知し、自動的に電波の発射を停止する機能)。その他の技術基準は従来と同一。中継動作を行うものの通信の相手方は、免許人所属の簡易無線局であること。これら以外の技術的条件は、基本的には既存のデジタル簡易無線と同等とする。このため、他の無線局への影響は既存のデジタル簡易無線と同等。中継利用は通信エリアが拡大することから、中継設備の利用範囲を把握するため、免許により使用者、設置場所等を管理することが望ましい。