総務省、2年度無線設備試買テスト結果を公表
総務省では、インターネットショッピングサイト等で流通している無線設備を購入して電波法の基準に適合するか確認する取組(無線設備試買テスト)を実施している。このほど、令和2年度における実施結果及びそれを踏まえた取組の状況について取りまとめた。 電波法に定める技術基準に適合しない無線設備や、著しく微弱な電波の範囲を超える電波を発射する無線設備が市場に流通し、他の無線局に混信その他の妨害を与える事例が発生している。 総務省では、消費者がそれらの基準に適合しない無線設備を購入・使用して電波法違反(無線局の不法開設)となることや、他の無線局に混信や妨害を与えることを未然に防止するため、市場から販売されている無線設備を購入し、電波の強さや特性を測定して基準に適合しているかの確認を行い、基準に適合しない無線設備の情報を公表する等の取組を実施している。 令和2年度無線設備試買テストの結果では、市場から購入した85機種の無線設備を対象に、その発射する電波の強度が著しく微弱なため電波法において無線局免許不要として扱われる範囲内であるかについて確認するとともに、一部の機種について電波法第3章の技術基準への適合性について確認を行った。 それによると、基準への適合性が疑われる無線設備として市場から購入した85機種(各2台)中77機種において、各機種2台とも著しく微弱な電波の範囲を超える電波を発射することが確認された。 無線設備の用途別の測定結果をみると(無線設備の用途、対象機種数、著しく微弱な電波の範囲を超える機種数の順に記載)▽FMトランスミッタ、28、20▽トランシーバ、22、22▽ワイヤレスマイク、11、11▽リモコン、5、5▽タイヤ空気圧(TPMS)、5、5▽盗聴器、4、4▽ワイヤレスチャイム、3、3▽キーファインダー、2、2▽通信機能抑止装置(ジャマー)、2、2▽ベビーモニタ、1、1▽無駄吠え防止、1、1▽ワイヤレスヘッドフォン、1、1―となった。 なお、製造業者名や型式名等の記載が無かった機種については、すべての機種が著しく微弱な電波の範囲を超えていた。 著しく微弱な電波の基準に適合しない無線設備については、他の無線局に混信その他の妨害を与えるおそれがあり、日本国内では無線局免許を受けることができなければ使用できない。 また、電波法第三章に定める技術基準への適合性が疑われる一部の機種について確認したところ、ワイヤレスヘッドフォン1機種が技術基準に適合していないことが判明した。技術基準に適合しない無線設備については、日本国内では基本的に使用することはできない。 無線設備試買テストの結果を踏まえ、技術基準や著しく微弱な電波の基準に適合しない無線設備の販売業者、製造業者又は輸入業者に対して、混信や妨害を防止するためそれらの無線設備の販売等を行わないよう働きかけを行っており、令和3年6月1日時点で78%の販売業者が当該無線設備の販売を中止している。 基準に適合しない無線設備を、免許を受けずに使用した場合、他の無線局に混信や妨害を与えるおそれがあるだけでなく、電波法違反となり罰則(一年以下の懲役又は百万円以下の罰金)の対象となる。 著しく微弱な電波の範囲を超える電波を発射する無線設備が市場に流通している状況を背景として、消費者が安心して微弱無線設備の製品を選ぶことができるよう、全国自動車用品工業会(JAAMA)及び電波環境協議会(EMCC)は、製品の発射する電波の強度が「著しく微弱」の範囲内であることを試験により明らかにし、登録・開示する取組(微弱無線設備登録制度)を実施している。 令和3年度も無線設備試買テストを実施中。基準に適合しない無線設備について、総務省の電波利用ホームページにおいて公表していくとともに、今後も、関係団体との連携や販売業者等への働きかけを通じて、適正な電波利用環境の確保に取り組むとしている。
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