東北総通局、災害時における住民への情報伝達手段の現状を調査

 総務省東北総合通信局(伊丹俊八局長)は、災害時における住民への情報伝達手段の現状を把握するため、東北管内(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県)の全市町村を対象としたアンケート調査を実施し、その結果を取りまとめた。 調査対象は東北管内の227市町村(回収率100%)調査概要は①住民への同報機能を有する無線システムの整備状況②情報伝達手段の多重化・多様化の状況、新たな整備への意向③防災行政無線の平時における運用―など。調査方法は多肢選択(一部自由記述)によるアンケート。調査期間は平成30年4月~7月。 災害時においては、災害情報や避難情報など住民が必要とする情報を迅速にかつ確実に伝達することが重要であり、その手段の「多様化(複数の形態で伝達すること)」及び「多重化(複数の手段で伝達すること)」に配意することで、情報伝達の信頼性確保と住民への伝達率の向上が期待される。 東北総合通信局では、この調査を通じて得られた防災行政無線をはじめとする情報伝達手段の整備状況等、個々の市町村からの回答内容の精査を進めるとともに、新たな整備に関する要望等を有する自治体に対しては事案に応じた適切な情報提供等を行うなど、情報伝達手段の多様化・多重化に向けた支援に取り組む。  調査結果の概要は次の通り。①では、住民への情報伝達を同報により行える機能を有する無線システムは東北管内で185の団体(全体の81・5%)で整備され、その内の約9割が防災行政無線(同報系)だった。同報機能を有する無線システムの整備状況を県別にみると、青森県は整備しているが39団体、整備していないが1。岩手県は整備しているが27、整備していないが6。宮城県は整備しているが27、整備していないが8。秋田県は整備しているが20、整備していないが5。山形県は整備しているが24、整備していないが11。福島県は整備しているが48、整備していないが11。 東北管内における防災行政無線(同報系)の整備率は75・3%(171団体)で、全国平均(78・6%、平成29年度末現在)をやや下回った。防災行政無線(同報系)のみの手段による情報伝達が一部世帯のみと回答した64団体については他の手段を併用することにより、全世帯への情報伝達を可能としていた。同報機能を有する無線システムの内訳(プラス防災行政無線のデジタル化方式への移行状況)をみると、防災行政無線(同報系)が171団体、MCA無線の同報利用が8団体、防災行政無線(デジタル移動系)の同報利用は6団体だった。 ②では、住民への情報伝達の手段とその形態(カテゴリ)により分類し、多様化/多重化の態様を把握した。多様化の状況としては、3~5種のカテゴリを備えている団体数が全体の9割近くとなっていた。多重化の状況としては、3~7種の手段を組み合せて運用している団体数が全体の8割近くに上り、導入している手段としては緊急速報メール、広報車、防災行政無線(同報系)の順に導入率が高かった。なお、新たな情報伝達手段としてICTの活用を検討している事案に対しては、東北総合通信局からの適切な情報提供等、オーダーメイドかつプッシュ型での支援に取り組むこととしている。 ③では、防災行政無線が、緊急・非常時または災害時の利用以外にも、平常時に行政情報の通信を行えることについては、全体の9割以上の団体に認知されており、様々な行政情報の伝達に活用されていた。防災行政無線の平時運用に対する認知度を聞いたところ、「知っていた」が213団体。具体的には、選挙(140団体)、学校行事(76団体)、自治体行事(149団体)、その他(79団体=鳥獣の出没や駆除に関する情報、時報的利用、警察・消防署からの周知など―となった。同局では、新スプリアス規格への適用に対する制度とその具体的な実施方法等について適切な情報提供等に取り組むこととしている。