信越総通局、5・6GHz帯無線LANを上空で利用

 総務省信越総合通信局(杉野勲局長)は、「無線LANにおける5・6GHz帯周波数の上空利用に関する調査検討会」を設置して、8月28日(金)にJA長野県ビル (長野市)で第1回調査検討会を開催した。 信越地域は、中山間地域である一方で広域な平野部が広がる地域でもあり、このような地形では、広範囲な情報を収集するために、上空の高点から鳥瞰的な情報収集が有効であり、その手法は、平時のみならず災害発生時や復旧時においても有効であると考えられる。 その方策として、小型無人航空機(ドローン)が多く利用されており、安定した無線伝送のために5・7GHz帯無人移動体画像伝送システムが制度化されているが、その利用には、無線局免許の取得や無線従事者の確保などあらかじめの準備が必要となる。 総務省では、平成30年に総務省情報通信審議会情報通信技術分科会の陸上無線通信委員会において、免許が不要で簡易な運用が可能である5・47~5・725GHz(5・6GHz帯)の周波数を利用する無線LANを、上空で利用することを検討し、当該委員会報告書を取りまとめた。しかし、当該委員会報告書において、今後の無人移動体画像伝送システムの普及が進み干渉確率の増加が見込まれるため、ドローンを始めとする無人航空機等の安全性の確保を行うことが制度化に向けた課題とされ、その後、当該委員会報告書は情報通信審議会において答申が行われ、一定の方向性は示されたが制度化までには至っていいない。 本調査検討では、5・6GHz帯無線LANの上空利用に関して、平成30年陸上無線通信委員会報告書において制度化に向け課題とされた事項の技術試験、及びその利用可能性について検討を行うことにより、信越地域での電波利用による上空からの情報収集の利活用に寄与していくことを目的としている。 具体的には、小型無人航空機(ドローン)を利用した上空からの情報収集のニーズに応えるため、免許不要で簡易な運用が可能な5・6GHz帯無線LANの上空での利用可能性について検討を行う。検討にあたっては、5・6GHz帯無線LANと一部周波数が重複する5・7GHz帯無人移動体画像伝送システムとの干渉及びキャリアセンス(送信を開始する前に送信しようとするチャンネルが使われていないか確認し、使用中であれば送信しないことで干渉を回避すること)などの干渉を回避する機能の有効性を検証し、上空利用の実現に向けた機能・条件を整理する考えだ。検討結果を踏まえ、現在、上空においては航空機内でのみ利用可能な5・6GHz帯無線LANについて、航空機外を含めた上空利用を実現するため制度整備を図っていく。 議題は▽調査検討の内容及びスケジュール▽5・6GHz帯無線LANの動向について▽机上検討、屋内試験及び屋外実証試験の方法―ほか。 構成員は学識経験者、無線機器製造事業者、ドローン運航関係者等。 今後、9月から10月に机上検討、10月から11月に屋内試験を実施。11月から 1月に屋外実証実験(うち12月に公開試験)を実施。令和3年3月に調査検討会の最終会合を開催し、調査検討結果を取りまとめる。