総務省 周波数再編アクションプラン 携帯電話網システムで+40MHz幅

総務省は、周波数の再編を円滑かつ着実に実施するため、周波数再編アクションプラン(令和4年度版)を策定した。なお、策定に当たり、令和4年9月2日(金)から10月3日(月)までの間、周波数再編アクションプラン(令和4年度版)(案)について意見募集を行った。その結果、110件の意見が提出されたので、提出意見及びそれに対する総務省の考え方を併せて公表した。総務省は、周波数の再編を透明性及び予見可能性を確保しつつ円滑かつ着実に実施するため、平成16年度から「周波数再編アクションプラン」を策定し、毎年度改定・公表している。総務省では、今後、周波数再編アクションプラン(令和4年度版)に基づく、具体的な取組を確実に実行する。なお、「周波数再編アクションプラン」は、毎年実施される電波の利用状況調査の結果及び電波の有効利用の程度の評価等を踏まえ、見直しを実施していく。「周波数再編アクションプラン(令和4年度版)」の概要は次の通り。 新たな電波利用ニーズに応えるため、周波数再編を実施すべき内容等について、「周波数再編アクションプラン」 を策定し、公表している。令和3年度電波の利用状況調査(714MHz超の周波数が対象)の評価結果(令和4年7月15日電波監理審議会答申)等を踏まえて、「周波数再編アクションプラン(令和4年度版)」を策定した。 ◇2025年度末までの周波数の帯域確保目標に対する進捗状況=新たに、携帯電話網システムとしてプラス40MHz幅、衛星通信システムとしてプラス2・5GHz幅、無線LANシステムとしてプラス0・5GHz幅の帯域を確保。具体的には、2025年度末までの当面の目標として、特に帯域を必要とする5G・Beyond 5Gなど携帯電話網システム、衛星通信・HAPSシステム、IoT・無線LANシステム、次世代モビリティシステムの4つの電波システムについて、2020年度末を起点として、全体としてプラス約16GHz幅の帯域確保を目指す(デジタル変革時代の電波政策懇談会報告書〈令和3年8月〉より)。ここでの進捗状況は全体としてプラス3・04GHz幅(携帯電話網:プラス40MHz幅、衛星通信:プラス2.5GHz幅、無線LAN:プラス0.5GHz幅)の帯域を確保している。 ◇重点的取組として8項目を設定〉①公共業務用周波数の有効利用の促進=国や自治体等が使用する公共業務用無線局(電波利用料の減免を受けているもの)のうち「他用途での需要が顕在化している周波数を使用するシステム」と「アナログ方式を用いるシステム」について取組状況のフォローアップを実施等。国や自治体等が使用する公共業務用無線局(電波利用料の減免を受けているもの)のうち、「他用途での需要が顕在化している周波数を使用するシステム」と「アナログ方式を用いるシステム」を対象に、デジタル変革時代の電波政策懇談会公共用周波数等ワーキンググループにおいて、関係府省庁における周波数の有効利用に向けた取組の進捗状況等についてヒアリングを行い、フォローアップを実施。これらシステムについては、公共業務用無線局に係る電波の利用状況調査として当面の間、毎年実施する。 ②V―Low帯域等、V―High帯域の利活用の推進=V―Low帯域は、FM放送用周波数の拡充、FM防災情報システム等への利活用に向けた検討を推進、V―High帯域は、200MHz帯公共ブロードバンド移動通信システムの周波数の拡張、狭帯域IoT通信システムの導入に向けた検討を推進等。放送大学の地上放送跡地(77・1MHz及び78・8MHz)については、「放送用周波数の活用方策に関する検討分科会」において令和4年3月に取りまとめた「放送用周波数の活用方策に関する取りまとめ(放送大学の地上放送跡地及びV―Low帯域)」に基づき、令和4年6月、関東地域における臨時災害放送局等に利用可能とする制度整備を行った。 V―Low帯域(95~108MHz帯)については、同取りまとめに基づき、FM放送用周波数の拡充に向けて令和10年から全国的に実施可能となる見通しのAM放送からFM放送への転換等に伴う必要帯域幅を検討する。また、FM防災情報システムの導入に向けた既存無線システム等との周波数共用に係る技術試験を令和5年度まで実施する。さらに、関係府省庁におけるFM路側通信システムまたはその他の無線システムへの移行等の検討状況の調査等を実施する。これらの検討等の状況を踏まえて令和6年度末までを目途に具体的な割当方針を検討する。 V―High帯域(207・5~222MHz)の活用方策については、「放送用周波数の活用方策に関する検討分科会」において、平成31年4月公表「V―High帯域の活用方策に関する取りまとめ」を踏まえ「放送サービスの高度化」「IoT」「通信サービスの高度化」の3つの分野について、ユースケースの具体化のための実証実験が行われ、当該実証実験の結果について、令和4年6月に「V―High帯域における実証実験等の結果取りまとめ」が公表され、通信サービスの高度化に関する具体的なシステム導入に向けた検討を進めることとの提言がなされたところである。 V―High帯域については、当該取りまとめ及びデジタル変革時代の電波政策懇談会報告書(令和3年8月)も踏まえ、200MHz帯公共ブロードバンド移動通信システム(公共BB)の周波数を拡張した場合における他システムとの共用条件等の検討を進め、令和6年度末までに技術的条件をとりまとめる。 なお、この際、拡張後の公共BBと他システムとのガードバンド等を活用して、災害時等に公共性の高い複数組織が多地点で情報共有を図ることが可能な狭帯域IoT通信システムの導入についても併せて技術的条件の検討を行う。 ③5G等の普及に向けた対応=2・6GHz帯、4・9GHz帯、26GHz帯、40GHz帯等において、ダイナミック周波数共用の活用を含めた移動通信システムへの追加割当てに向けた検討を推進等。2・6GHz帯(2・645~2・665GHz帯)については、平成29年度に実施した衛星移動通信システムとの共用検討の結果も踏まえ、既存無線システムへの影響に配慮しつつ、平時と災害時のダイナミックな周波数共用の適用を含め、移動通信システムの導入の可能性について検討を進める。 ローカル5G(4・6~4・9GHz、28・2~29・1GHz帯)については、様々な課題解決や新たな価値の創造等の実現に向け、現実の利活用場面を想定した開発実証を令和4年度まで実施する。さらに、ローカル5Gの広域利用の実現可能性や免許手続の簡素化、海上での利用可能性等、より柔軟な運用に向けた検討を行い、令和4年度中に取りまとめるとともに、その結果を踏まえ、制度整備を行う。 4・9GHz帯(4・9~5・0GHz帯)については、令和7年度末までの5Gへの周波数割当てに向けて、既存の5GHz帯無線アクセスシステム(登録局)を新たに開設することが可能な期限を令和7年度までを目途とするとともに、既存無線システムについては、終了促進措置を活用し、他の無線システムへの移行等の検討を進める。 26GHz帯(25・25~27GHz)及び40GHz帯(37・0~43・5GHz)については、令和7年度末までの5Gへの周波数割当てに向け、既存無線システムとの共用検討や電波の利用状況の調査結果等を踏まえ、ダイナミック周波数共用の適用帯域や終了促進措置の活用も含めた周波数再編について検討を行う。 22GHz帯(22・0~23・6GHz)については、令和3年度の電波の利用状況調査・評価の結果、全体として無線局数が減少傾向であり無線局数が他の周波数帯に比べて極めて少ないこと等から他のIMT候補周波数帯における周波数再編の際の移行先周波数としての可能性について検討していくことが必要とされている。26GHz帯や40GHz帯の周波数再編の際の既存無線システムの移行先候補として、22GHz帯無線アクセスシステム(FWA)の高度化に向けた検討を推進する。 ④無線LANの更なる周波数拡張等に向けた対応=無線LANの6425~7125MHzへの拡張、5925~6425MHz帯における無線LANの高出力屋外利用、ナローバンドデバイスの利用に関する検討を推進等。 ⑤V2Xの検討推進=5・9GHz帯へのV2X用通信を導入する場合における具体的な周波数の利用方策等について、令和4年度に検討を開始する等。 ⑥衛星通信システムの高度利用に向けた対応=1・7GHz帯/1・8GHz帯携帯電話向け非静止衛星通信システム及び静止衛星を用いた移動体向けブロードバンド衛星通信システム(ESIM)による拡張帯域の利用に向けた検討を推進等。 ⑦その他の主な周波数再編、移行等の推進=デジタルMCAの高度MCAへの移行後の周波数有効利用方策、1・2GHz帯アナログ方式の画像伝送システムの周波数移行、1・9GHz帯公衆PHSサービス終了後の周波数有効利用方策の検討を推進等。 ⑧Beyond 5Gの推進=令和4年6月にとりまとめられた「Beyond 5Gに向けた情報通信技術戦略の在り方」に基づき、光ネットワーク技術、光電融合技術、衛星・HAPSネットワーク技術等の研究開発を強力に加速し2025年以降順次の社会実装、国際共同研究及び国際標準化を強力に推進等。