関東総通局、水戸市で「ブロックチェーンが拓く未来」を開催

 総務省関東総合通信局(黒瀬泰平局長)は、特定非営利活動法人GIS総合研究所いばらき及び関東ICT推進NPO連絡協議会との共催により、12月7日に「M―WORK(エム・ワーク)」インキュベーション・スペース(茨城県水戸市南町1の2の32)で、「ブロックチェーンが拓く未来」を開催した。 後援は茨城県、水戸市、水戸商工会議所。協力は認定NPO日本再生プログラム推進フォーラム、M―WORK。 関東総合通信局は、関東ICT推進NPO連絡協議会とともに、ICTを活用して地域課題の解決、地域の情報化を推進する活動を行うNPO団体等に対し支援・協力を行っている。 ブロックチェーンはインターネット以来の革新的な技術として世界的に注目されており、同シンポジウムでは、IoTやシェアリングエコノミーとの関係等を、海外のインターネット情報をもとに、前半は経済アナリストがブロックチェーンについて講演し、後半はブロックチェーンの最新動向やその応用について参加者同士で学び合う場とし、ブロックチェーンによる未来創造の可能性を考えていくイベントとなった。  まず、開会挨拶を総務省関東総合通信局情報通信部長の山下朝文氏が行った。「ブロックチェーンは、インターネット以来の革新的な技術で、たいへん注目されている。みなさんご承知の仮想通貨以外の分野でもさまざまな利用検討が進んでいる。私ども、総務省でもこういったブロックチェーン技術の運用面、ルールなどの課題の抽出をするために、今年度から実証事業を行っている。さまざまな可能性を持つブロックチェーンについて、本日は基調講演とディスカッションで理解を深めていただければと思う。私ども関東総合通信局はIoT、ICTの利活用を通じて地域の課題解決や地域振興を進めていきたいと思う。本日のフォーラムが皆さんのこれからの活躍に参考になればと思う」と述べた。 続いて、基調講演で「ブロックチェーンについて学ぶ」と題して経済アナリストで日本再生プログラム推進フォーラム理事長の藤原直哉氏が行った。「ブロックチェーンとは」「ブロックチェーンの最新動向や応用、可能性」を中心に講演した。 藤原氏は「ブロックチェーンとは基本的にはデータベースの技術であり、分散型台帳技術とも呼ばれる。いわば分散型ネットワークである。データベースを〝鎖〟でつなぐからブロックチェーン。ただ、データベースそのものがわれわれのイメージと全然違う。金融面での今までの常識とは全く違う。ごく少数のデータベースを管理したほうが安全だ―ではなく〝多くの人がデータベースを持っていることが安全である〟という考えだ。そしてほんとうに改ざんも漏えいも難しい。さらにいうと、時系列のデータベースである。データベースを書く中にプログラムを入れられる。社会のインフラを新しくしようとみんなががんばっているのがブロックチェーンの世界だ」と根幹の部分を述べた。そして、ブロックチェーンの一連の流れを紹介するためデモンストレーションを行った。デモを交えて「ブロックチェーンとは何か」のキーワードとベースとなる技術を挙げて、ハッシュ、P2P通信、トークン、コインベース、暗号鍵、スマートコントラクトなどの詳細を説明。応用範囲は金融、サプライチェーン、貿易、医療、不動産、芸術、教育、インフラ、旅行―にまで広がっていると話した。 さらに「ブロックチェーンの本質は〝信用の再構築〟である。なぜ、ブロックチェーンが世界で急速に普及しているのか?。それは政府や信用仲介者が信用できないから。少数の国家エリートが作り出す信用力より、人々の常識とシステムが作り出す信用力のほう強いからだ」とし、ブロックチェーンとIoT、AIを組み合わせれば信用仲介者はいらなくなる―と述べた。ブロックチェーンとIoT、AIが作り出す新しい社会インフラであると位置付けた。 次に、ブロックチェーンの応用で『仮想通貨』について説明。「ビットコインは発行体のない〝通貨のようなもの〟。法定通貨ではないから多くの規制の適用外である。国が発行する紙幣ではなく、民間が発行する〝私幣〟だ。今までの金融の常識を根底から覆す構造だ。国や金融仲介者を排除したヨコ型送金システムであり、取引は即時全面公開されている。〝私幣〟経済圏を誰でも自由に構築できる」とまとめた。 次に「ブロックチェーンで最も重要なことは何か」について述べた。「ブロックチェーンが引き起こしているのは、現代社会全般の分岐的イノベーションである。分岐的イノベーションなので安全性の向上、品質管理が実現する。全世界に層状に広がるヨコ型社会の基幹技術だ。そして、ブロックチェーンへの取り組みで最も重要なことは『ブロックチェーンを当社でどう利用するのか』ではなく、『ブロックチェーンが普及した世の中で当社はどう生きていくのか』である」と結んだ。 さらに「ブロックチェーンは、国民国家に代わる新しい信用基盤の構築だ。タテ型からヨコ型への世界の一大変革だ。もう一度、『ブロックチェーンが普及した世の中で当社はどう生きていくのか』こそが重要で、ここをいつも考えてほしい。今後は、分岐的イノベーションに対応しなければいけない世界なのだ」と論じた。 続いて、シェアタイムで質疑応答、「私たち自身が未来に向かって何が出来るか、どのように活かすか」についてディスカッションをした。 閉会挨拶を特定非営利活動法人GIS総合研究所いばらき代表理事の安原一哉氏が行った。 閉会後、参加者はM―WORKを自由見学した。M―WORKは起業家などの輩出を目指すカフェ&シェアオフィス。中心市街地の活性化を目指す「水戸ど真ん中プロジェクト」の第4弾。