総務省、販売代理店適正性確保に向けた指導を実施
総務省は8月1日、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイル並びに一般社団法人全国携帯電話販売代理店協会(金治伸隆会長)に対して、携帯電話の販売代理店の業務の適正性確保に向けた指導等の措置の改めての実施について要請を行った。併せて、一般社団法人電気通信事業者協会(島田明会長)及び一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟(渡辺克也理事長)に対して、苦情相談の処理における体制の強化に向けた取組に係る措置の実施について、要請を行った。 「消費者保護ルールの在り方に関する検討会」(主査・新美育文明治大学名誉教授)では、昨年9月に取りまとめた「消費者保護ルールの在り方に関する検討会報告書2021」に即して検討を行い、今年7月に「「消費者保護ルールの在り方に関する検討会報告書2021」を踏まえた取組に関する提言」を取りまとめた。8月1日、総務省では、提言を踏まえて、次の2点について、関係事業者等に対して要請を行った。 ▽販売代理店の業務の適正性確保に向けた指導等の措置について=全国に約8000ある大手携帯電話事業者の店舗(いわゆる「キャリアショップ」)は、携帯電話サービスの契約やアフターサービスを扱う利用者にとって最も身近な窓口となっている。なお、「キャリアショップ」は、携帯電話事業者の直営店もあるが、その大半は販売代理店が運営している。 特に、携帯電話事業者は様々な料金プランやオプションを提供していることから、利用者が自らのニーズに合った内容の契約を選択することは容易ではなく、利用者が対面で説明やサポート等を受けることができるキャリアショップは大きな役割を果たしている。このため、総務省では、昨年5月に、携帯電話事業者等に対して、業務の適正性確保に関する要請を実施したところだ。 提言では、総務省が今年実施した調査(4月25日公表)において、昨年の要請以降も未だに広く不適切な行為が行われ、かつ、こうした行為は、行為者の判断に基づき行われるケースは少なく、MNOや販売代理店の営業目標、店長等の指示といった外的な圧力に起因して行われるケースが大半を占めていることが伺える結果となったことに言及している。 また、総務省が昨年9月に設置した「携帯電話販売代理店に関する情報提供窓口」に寄せられた情報では、携帯電話事業者が設定する現行の手数料や評価の体系では、利用者の利益よりも契約の獲得を優先せざるを得ないといった声や、目標値が高すぎるといった声があったことにも言及している。 その上で、提言では、携帯電話事業者各社及び販売代理店において実施してきた様々な取組では十分といえないこと、携帯電話事業者が販売代理店に示す契約獲得等の目標値や出張販売に係る課題について指摘している。 このため、指摘を踏まえ、8月1日、総務省では、携帯電話通信キャリア4社に対して、販売代理店の業務の適正かつ確実な遂行を確保するために講じている措置について、必要に応じて見直しや強化を図るとともに、販売代理店に対し、不適切な行為が行われないようにするため、販売代理店が適合性の原則に則って契約を締結することが十分促される仕組みにするなど、必要な措置を講じるよう要請を行った。また、一般社団法人全国携帯電話販売代理店協会に対して、加盟各社への対応等を行うよう要請を行った。 ◇ ▽苦情相談の処理における体制の強化に向けた取組について=苦情相談の処理における体制の強化については、昨年9月に「消費者保護ルールの在り方に関する検討会」において取りまとめた「消費者保護ルールの在り方に関する検討会報告書2021」を受けて同検討会の下に「苦情相談処理体制の在り方に関するタスクフォース」を設置し、今年6月に、事業者団体の自主的な取組という形で新たな苦情相談処理体制の試行的取組を実施し、その状況や効果・課題等を検討会において継続的に検証することが適当であるなどの内容の報告書をとりまとめたところだ。 7月の提言において、関係団体はこのタスクフォースの報告書を踏まえた対応をすべき旨の指摘がされたことを踏まえ、8月1日、総務省では、一般社団法人電気通信事業者協会及び一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟に対して、苦情相談の処理における体制の強化に向けた取組を行うよう要請を行った。
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