衛星オペレーションセンターを開設 システムのパッケージ販売も NEC

 NECは1月10日、人工衛星を活用した宇宙利用サービス事業の拠点として、衛星の運用業務を行う「NEC衛星オペレーションセンター」を開設し、4月より本格稼動を開始、また同センターでは1月17日に打ち上げ予定の経済産業省補助事業で開発された高性能小型レーダ衛星「ASNARO-2」より、地上システムパッケージ「GroundNEXTAR」を利用し、衛星システムの運用を開始すると発表した。 同センターでは、衛星管制業務やミッション計画業務といった衛星機能の運用業務を行えるもので、セキュリティ性の高いデータセンターに専用機材を設置し、必要最低限の操作機材のみが同センター内に設置されているため設置効率の良い衛星システムの運用が特長となっている。また障害等の発生を考慮して、オペレーションセンターと同等の機能を有するバックアップセンターを別場所に用意している。同センターの活用方針についてナショナルセキュリティ・ソリューション事業部事業部長の永野博之氏は「複数衛星の並行運用も可能となっており、今後は同センターでも今後は運用衛星数を拡大していき、宇宙利用サービスを拡大していく」と語っている。 また、同社は人工衛星の地上システムパッケージ「GroundNEXTAR」を開発。衛星の運用に必要な衛星管制、ミッションデータ処理、ユーザーインターフェースの各機能に加えて、撮像計画を可視化するオプションのGLOVIEWが搭載可能となっており、これらシステムをパッケージ化したことにより衛星システム運用業務を標準化した。そのため、効率化および省人化が可能となることに加え、他社製の衛星の運用も可能と仕様となっている。主に新興国向けに衛星本体とのパッケージも販売していくとしている。同事業の具体的な数値目標については「今後3年間で累計50億円の売上を目指し、衛星データ利用をきっかけに新たな価値を創造し、日本の産業発展に貢献する」と語った。 また、同社は2015年5月に衛星画像販売ノウハウを持つ事業者とともに、同システムを使用するリモートセンシングサービスの事業会社である日本地球観測衛星サービスを発足させており、今回打ち上げ予定の「ASNARO-2」を用いて撮影画像販売を9月から主に自治体や民間向けにグローバルな展開を予定している。先行企業が複数社ある中で、同社の強みとして永野氏は「人工衛星の製造から運用、販売まで手掛けるのは日本においては当社が初になります」とアピールするとともに、同社は「安全・安心・効率・公平という社会価値を創造する『社会ソリューション事業』をグローバルに推進しています。当社は、先進ICTや知見を融合し、人々がより明るく豊かに生きる、効率的で洗練された社会を実現していきます」と話している。