4G LTEと3D地図で完全自律飛行成功、「スマートドローン」構想に向け各種提携 KDDI

 KDDIは11月29日に都内で記者会見を開き、4G LTEのモバイルネットワークを活用し、「3次元地図」と「ドローンポート」を用いた「スマートドローン」の完全自律飛行実験に成功、近畿日本鉄道とキヤノンMJと同ドローンを活用した鉄道災害時の情報収集の実証実験を開始、またウェザーニューズとモバイル通信ネットワークを活用したドローン事業で業務提携を行うと発表した。 同社はモバイル通信ネットワークを活用した、スマートドローンによる安全な長距離飛行が可能になるインフラの構築を目指しており、2016年12月に「スマートドローンプラットフォーム」構想を発表。ドローンの安全な飛行高度やルート策定に必要となる「3次元地図」と、自動充電設備の「ドローンポート」への画像認識による自動着陸機能をゼンリンやテラドローン、プロドローンと共同開発している。 今回の完全自律飛行実験は11月13・14日に新潟県長岡市山古志に行われ、地域の名産品の錦鯉を養殖する棚池での薬剤散布後に着陸地点から、充電するまでの総距離約6.3kmの長距離飛行に世界で初めて成功、ドローンによる長距離飛行が技術的に可能だと確認した。 近畿日本鉄道とキヤノンマーケティングジャパンと2018年2月より自律飛行するスマートドローンを活用した鉄道災害時における線路・送電設備の異常検知の迅速な情報収集に関する実証実験を開始すると発表。実証実験では4G LTEのモバイルネットワークにつながることで、広範囲かつ長距離の飛行が可能になったスマートドローンにキヤノンのカメラを搭載し、近畿日本鉄道の車庫においてさまざまな環境や状況を想定しての飛行や動作を検証することで、ドローンによる遠隔での効率的かつ安全な設備点検の実現を目指すというもの。 ウェザーニューズとは、安全な飛行に必要なドローン向け気象予測情報の提供や、基地局に設置した気象観測システム「ソラテナ」の活用に向けて準備を進める。ドローンによる長距離飛行を実現するには、ドローン飛行開始前に飛行予定ルートの気象予測を基に飛行可否の判断を行い、飛行中においても安全航行の妨げになる突風や豪雨、霧などの正確な情報を迅速に把握し、着陸可否判断やルート変更を行う必要がある。今回の業務提携では、スマートドローンの運行管理システムにウェザーニューズが保有する高精細な気象情報を搭載することにより、同社は「より安全な自律飛行の実現を目指してまいります」としている。 同社執行役員常務の山本泰英氏は「来年3月にはお世話になっている長岡市と共同してドローンによる自治体が抱える課題解決を探っていく。また、今後も道路保全や警備分野についても実証実験を行っていきたい」と語っている。 また記者会見と同時にパネルディスカッションが行われ、パネリストには同社の山本氏、ゼンリン上席執行役員の藤沢秀幸氏、プロドローン取締役副社長の菅木紀代一氏、テラドローン代表取締役社長の徳重徹氏、ウェザーニューズ執行役員の石橋知博氏が登壇。共同開発の経緯や、ドローン市場の現状や海外の状況、それぞれの展望について語った。