新社名は「Dynabook」 8K・IoTでブランド価値向上を図る 東芝クライアントソリューション

 東芝クライアントソリューション(東京都江東区、覚道清文社長、TCS)は12月3日に都内で中期経営計画説明会を開催し、2019年1月1日より社名を「Dynabook」に変更すると発表した。 東芝は6月5日にTCSの株式80・1%をシャープへ譲渡すると発表し、10月1日より正式にシャープグループの傘下に入っている。 会見にはシャープ取締役副社長執行役員兼TCS代表取締役会長の石田佳久氏とTCS代表取締役社長兼CEOの覚道清文氏が登壇し、石田氏は同社の事業ビジョンと経営方針について説明。 石田氏はTCSの事業は国内法人向けのハードウェア事業が中心だったと説明し、そこにシャープが持つ8KやIoTといった技術を、TCSが持つコンピューティングとサービスとを組み合わせることで「快適な社会と生活を実現することにより、事業を成長させます」と話す。それに合わせて、TCSの社名をTCSのPCブランド「dynabook」を用いた「Dynabook」に1月1日より変更すると発表。石田氏は「ブランド価値を極大化させ、3年後のIPOを目指します」としている。 TCSの中期経営計画は、覚道氏が「現状認識」「重点取り組み方針・施策」「中期経営数値」の3点について説明した。 「現状認識」では、1985年のラットトップPC「T1100」や、1989年にノートPC「DynaBook J―3100 SS001」を開発するなど、数多くの世界初や世界一となる製品を開発してきた歴史について触れたほか、覚道氏はバリューチェーンを通じての一貫提供、技術力、高品質性といった強みを持つ一方で、ラインアップの弱さ販売基盤や規模の縮小によるコスト力の低下、リソース不足による投資・経営インフラの脆弱さなども課題があると分析する。 これら現状の課題を克服すべく、今後の取り組みについて覚道氏は、ハードウェアとサービスを融合し、新しい価値をお客様に届けること、商品力強化や事業領域の拡大に取り組むとし、「解析技術のAI、事業展開にかかせないIoTといったソフトウェア技術の面でシャープと連携し、シャープの拠点を活用しながら日本市場に依存せずグローバルへの再展開を行い、会社体制強化に努めます」と話した。 「重点取り組み方針・施策」では、ハードウェアとサービスの融合や商品力強化、事業領域拡大、展開地域強化などについて説明。 ハードウェアは、シャープの家電やスマートフォン技術を活用して、日米欧向けにプレミアム機の導入やアジア向けの攻略器などラインアップを拡充し、サービス・ソフトウェアでは、短期的な目標としてはクラウド事業やライフサイクルマネジメントの強化・海外拡充、シャープのCOCORO+の海外展開などを目指すとし、長期的な視点ではシャープが持つ8K技術を活用した警備・解析システムや、5Gによるクラウドとエッジデバイスが連携した分散処理技術の強化、ゼロクライアント、遠隔医療、遠隔操作といった時間と場所の制約からの解放を実現するソリューション開発も行っていくという。 中期経営計画については、日本需要依存からの脱却を図り、PCの売上海外事業比率を2018年度(見込み)の22%から、2020年度には42%まで引き上げ、売上高についても2018年度の1600億円から2020年度には3400億円で営業利益は70億円、年平均成長率46%を目指すと発表している。