国内初、ドローンで商品を配送 最先端技術で地域活性化 楽天、ローソン
楽天とローソンは、10月31日より「ローソン南相馬小高店」を拠点に、専用車両による移動販売とドローンによる商品配送を連携させた試験的な取り組みを開始すると発表した。 南相馬市小高地区は、福島第一原発事故の影響による避難指示区域の指定が2016年7月に解除され住民の帰還が進んでいるものの、日用品や食品などの買い物環境の向上は優先すべき課題となっている。ローソン南相馬小高店は2016年10月に同地区で初めて営業を再開したコンビニエンスストアで、今回の協業では同店舗を拠点に小高区内で週2回の移動販売を開始し、そのうち週1回限定で、移動販売車では積み込めない温度帯である「からあげクン」をはじめとしたフライドフーズの注文を受けた際に「楽天ドローン」の専用機で実店舗から移動販売先まで配送を行う。同社は「まずは半年間の試験運用を経て検証を行い、その後の展開を検討する」としている。 実店舗から移動販売車までは約2.7㌔㍍、約7分間かかる。最大積載量はおよそ2㌔㌘。悪天候時には運航できない場合もあるという。ドローン配送とコンビニエンスストアの移動販売を連携させた取り組みは、日本国内では初めての事例となる。 また、楽天は昨年6月より千葉県御宿町のゴルフ場にてドローンによる配送サービス「そら楽」をスタートしており、南相馬市とローソンとは今年1月に完全自律飛行ドローンによる長距離荷物配送実証試験を行っていた。2月には楽天と南相馬市はドローンを活用した新たな物流システムの構築に関する事項を含めた包括連携協定を締結している。 取り組みについて、ローソン代表取締役竹増貞信氏は「単にハードの店を置いて来てくださるお客様を相手にするのだけではなく、店に来られない方や家まで来て欲しい方に商品を提供することが求められてくる。ローソン自体も街やお客様の変化に合わせて進化していきたい」と話し、楽天の代表取締役三木谷浩史氏は「ドローン配送の社会実装に向けた大きな一歩だと思っている。来たるべき自動運転やAIによる革命・進化に向けてさまざまな投資をしていきたい」と語った。 来賓として登壇した南相馬市長の桜井勝延氏は「震災により高齢化率が51%となり、買い物・交通・医療弱者が生まれた。この取り組みはコミュニティの再生にも利便性の向上にも繋がるし、世界中の被災地や、僻地に住む人々がサービスを受けられる可能性が大きくなる。南相馬市としても応援するとともに、市民の生活を支えるために新たな挑戦をし続けていきたい」と話している。
この記事を書いた記者
最新の投稿
- 実録・戦後放送史2024.09.02連載にあたって
- 筆心2024.09.022024年8月26日(第7712号)
- 放送ルネサンス2024.09.02放送100年特別企画 「放送ルネサンス」第1回
- 放送2023.09.01ビデオリサーチ 災害情報入手経路の7割が地上波民放テレビ