MPTE AWARDS 2024、技術開発賞は日テレ「ビデオペン」

一般社団法人日本映画テレビ技術協会(港浩一会長)は1日、時事通信ホールにおいて「MPTE AWARDS 2024 第77回 表彰式」を開催した。第77回(2023年度)の技術開発賞は1件、技術開発奨励賞が1件。
技術開発賞は、日本テレビ放送網 ビデオペン開発チームの「新しいビデオペンの開発と多機能化」。
これまでビデオペンというシステムは、主に「フリーハンドによる軌跡描画機能」のみが注目されてきた。しかし、同開発ではその直感的な操作感に着目し、画像認識などの機能を誰でも簡単に扱うことができるシステムへと再開発した。その操作性の高さから様々なコンテンツへ広がりを見せ、以下の点でコンテンツの新しい表現や番組制作の効率化に大きく貢献したという。
映像上の人物をタッチすることで、これまでは後編集で追加していた追従CGをリアルタイム表示できる。これにより、生中継においても一目でどの選手に注目すべきかを視聴者に分かりやすく伝えることが可能となった。
同開発についての審査講評は、「同件は、フリーハンドによる軌跡描画のツールだったビデオペンをAIとシームレスに連携させることで、画像認識、音声認識、物体追従といった機能を、ビデオペン特有の直感的な操作でコンテンツ制作に容易に活用することを実現した開発。
審査会では、技術スタッフの支援無しに誰でも容易に扱える実用性、ビデオペンをAIと連携させた独創性や様々なスポーツコンテンツへの活用した実績等が高く評価された。また、開発は社内メンバーを中心に民生機を活用して行い、ノートPC上でオンプレミスで実装することでシステムの簡素化と低コスト化を図った点も大いに評価された」としている。
ビデオペン開発チームでは、「本システムにおける強みの一つは、『新技術を誰でも簡単に扱うことができる』という点です。番組制作者自身が思い描くイメージを自らの手で形にできるインターフェースにより、コンテンツ制作のクオリティがさらに高まることが期待できます。これからも新しい機能を拡充し、放送技術の常識を変える新技術を開発できるよう邁進してまいります」とコメントしている。

技術開発奨励賞は、朝日放送テレビ 照明業務支援システム開発チーム(代表:瀧本貴士)の「照明業務支援システムの開発」。
同開発についての審査講評は「照明設備双方向通信規格(RDM)を活用し、LED照明器具を使用する際の照明準備作業の大幅な効率化を実現した事績。
LED照明器具は、器具種ごとの設定を照明操作卓を記憶させたうえで、卓側で設計したDMXアドレスと、確認に時間がかかることも多い。本件は、『器具の回線系統とDMXアドレスを固定し、使用する器具情報から卓の制御情報や回線系統設計を行う』という前提に立って開発を進め、照明操作卓の照明器具配置図面作成ソフト上に照明器具を配置するだけで、照明ネットワーク内機器への設定作業の自動化を可能にし、事前作業の大幅な簡略化を実現している。
同開発は、既存の技術を新たな発想で融合させ、照明業務の大幅な効率化を実現することで、担当者が画創りにより集中できる環境したという点で画期的と言える」としている。

(全文は11月8日号3面に掲載)

トップ画面は日本テレビ放送網 ビデオペン開発チーム

朝日放送テレビ・瀧本貴士氏

朝日放送テレビ・瀧本貴士氏

この記事を書いた記者

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成澤誠
放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。