出版業界で培った派遣実績を新たな業界に 『ブリッジ』が放送・映像業界に進出
出版業界を中心にメディア業界への人材派遣や各種アウトソーシングで30年にわたって実績を重ね続けてきた「ブリッジ」(東京都千代田区、加藤勝社長)。満を持して来年1月からは放送・映像メディア業界への人材派遣サービスを開始する。これまで、派遣社員と受け入れ企業両社にとって障害となる派遣法の「3年ルール」を独自のサービスで解決。加えて、「何事においても熱量を持つ」「ポジティブ思考」「素直さ」の3つを軸に徹底した研修制度で優秀な人材を数多く業界に送り込んできた。新たな業界での人材提供に踏み出す同社に意気込みを聞いた。
派遣法の3年ルールとは、派遣社員が同じ事業所内の同じ部署で派遣されることができる期間を原則として3年までと定めたルール。派遣労働者の雇用の安定やキャリアアップを目的としており、企業が派遣を利用することによって正社員の雇用が減ることを防ぐ政策的な観点から設けられている。
派遣社員のメリットとしては、派遣期間の終了時期が明確なので終了後の働き方計画を立てやすいといったメリットの一方、次の派遣先が見つからないと収入が途絶える、専門的な知識が身につきにくいといったデメリットが考えられる。
また派遣先の企業側にとっては、担当者を入れ替えることで業務の属人化を防げるなどのメリットがある一方、業務に慣れた人材に継続して仕事をしてもらえない、担当者の入れ替えにより、新規採用や教育、引き継ぎの手間や費用がかかる、といったデメリットがある。
こうした派遣法の「3年ルール」の双方の課題解決策として、同社では、原則6か月を超えたスタッフを正社員化し、有期雇用から無期雇用とした。
企業側が直接雇用を望む場合には、「職業紹介」というプランを提示。派遣社員の受け入れ先企業から雇用条件を示してもらい、ブリッジ側からスタッフに条件を提示。スタッフ側が承諾した場合、初年度想定年収に対して35~40%をブリッジに支払うことで、企業側がスタッフを直接雇用できる。人材派遣の場合、月々の派遣料が発生することに対して、同プランの場合は初期投資のみのコストで抑えることができるメリットがあるという。
ブリッジの阪本直樹取締役CMOは、「優秀なスキルを持った人材は巷に転がっているわけではなく、それなりの人材はヘッドハンティング以外になかった。自社で正社員雇用する場合はミスマッチも起きやすく、まずはトライアルとして派遣の形で導入してもらい、人となりや姿勢を見てもらったうえでプロパーにしてもらえたらいい。出版も放送も間口が狭い人気の職種であることに変わりはなく、そういった業界で働きたい人にとってはチャンス」と呼び掛ける。
ブリッジ側では、求人募集費用、研修・指導コスト、福利厚生、社会保険、昇給、賞与といったコストを支払うリスクを抱えているが、これまでの実績から募集への応募は後を絶たず、そこから書類選考、面接を経てコストを掛けたとしても決して不利益にならないような優秀な人材を多数確保しているという。
阪本取締役CMOは、「昨今の日本は人手不足と言われているが、出版メディアに憧れて就職したいと思っている人材は多く、人材募集には苦労はしていない。当社としてはかなりハードルの高い人選をしており、業界未経験者であっても一から教え込むことを強みとしている。何より『何事においても熱量を持つ』『ポジティブ思考』『素直さ』の3つを兼ね備えた人材を揃えており、ここを逸脱すると働けない。根底は人ありきという志を今後も貫きたい」と話す。
当然、すぐにスタッフと派遣先の企業が100%マッチングするとは限らない。そういった場合でも根強く問題に対処したおかげで感謝されたケースもあったという。ある印刷会社の事例では、紹介したスタッフが続けてミスマッチとなったが、3人目の派遣で気に入ってもらい、職業紹介サービスを利用し、自社のプロパースタッフとした。当該印刷会社からは「迅速に対応してもらい、適材適所の人材を配置してもらった」といった感謝の声が寄せられたという。
今回本格的に進出する放送・映像メディア業界では、テレビ、ラジオやユーチューブなどの配信、電子書籍といった業界で活躍できる人材派遣を目指す。
阪本取締役CMOは、「放送等のメディアも大変な状況で厳しいという認識だからこそ盛り上げていきたい。ミスマッチは生じるかもしれないが、3つの軸を兼ね備えた良い人材を提供できるよう努力したい。そこには自信を持っている」と力を込める。
この記事を書いた記者
- 主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。
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