日本賞2024 グランプリは「ハグしてもいい?」

NHK主催で、教育コンテンツのみを対象にした国際コンクール「日本賞」が決定した。
今年は59の国と地域(2023年は55の国と地域)から過去最多の423(同391)のエントリーがあった。日本賞はコンテンツ部門と企画部門に分かれ、さらにコンテンツ部門は、対象の年齢によって分けた4つのカテゴリー【▽①幼児向け(0~6歳)▽②児童向け(6~12歳)▽③青少年向け(12~18歳)▽④一般向け(18歳以上)】と、予算・機材などの制作条件が十分でない国・地域における教育番組の企画の実現を支援し、世界の教育放送の向上に貢献することを目的とするコンテンツ企画部門の5つのカテゴリーに分けて、一次審査が行われた。この中から最優秀作品4本、優秀作品4本、そして特別賞1本、計9本の受賞作品が決定し、最優秀作品4本の中から「グランプリ日本賞」を選んだもの。
今年のグランプリは「ハグしてもいい?」(制作会社:Jumping Ibex/Deutsche Welle、国・地域:イギリス・イラン・ドイツ、ジャンル:ドキュメンタリー)。内容は、イランの宗教都市コムでは、性的な安全を守るという名目で女性に様々な制約が課せられている。このような環境で育った少年ホセインは、幼少期に男性によるレイプや性的虐待の被害を受けた。彼はこの秘密を抱えたまま大人になり、現在、妻エラへの支えを受けてようやくそのトラウマに向き合おうとしている。
各賞の受賞作は以下の通り。
▽幼児向け部門 最優秀賞「ファンタスとあそぼ あめふり」(制作会社:Norwegian Broadcasting Corporation、国・地域:ノルウェー、ジャンル:アニメ)。内容は、0歳~2歳の子どもたちに向けたシリーズ。実際の子どもたちが人気キャラクターのファンタスといっしょに陸と海の新しい世界を冒険し、アニメーションで命を吹き込まれた、おもちゃやさまざまなものに出会う。このエピソードでは、寝ているクマを見たファンタスがお友だちと「クマさんグーグー」遊びをしたり、拍手をするゴミ箱や歌う卵を見つけたりする。
▽児童向け部門 最優秀賞「ビキニをやっつけろ!」(制作会社:Colonelle films、国・地域:カナダ、ジャンル:ドラマ)。内容は、元気いっぱいの10歳の少女リリは、泳ぐときはいつも海パンだけ。レジャープールに遊びに行くときは、ビキニの上をつけるよう両親から強く言われたリリは反発します。どうして平らな胸を隠さなきゃいけないの?友だち(全員男の子)はそんなことしないのに。この作品は、固定観念、自己認知、身体の変化を通して、自我の目覚めとアイデンティティー形成を描いている。
▽青少年向け部門 最優秀賞「カブール・ビューティー」(制作会社:Kraken Films/LCP―Assemblée Nationale、国・地域:フランス、ジャンル:ドキュメントリー)。内容は、ソフィアとニギナは、誇り高く、美しいアフガニスタン人。親友である二人は、働いている美容室のカーテンの裏で、彼女たちにとって最後の自由な空間を守ろうと奮闘している。
しかし、2021年8月にタリバンが復権すると、弾圧が強まり、二人は国外への脱出を計画する。2023年の夏には、カブールの多くの美容室が閉鎖を余儀なくされる。
▽コンテンツ作品 特別賞「変わりゆく家族の肖像」(制作会社:A5 Film、国・地域:ノルウェー、ジャンル:ドキュメンタリー)。内容は、モミの木に囲まれた小さな農場に、型破りな選択をした家族が暮らしている。マリアとニック、そして4人の子どもたちは、自給自足の生活をし、子どもはホームスクーリングで学んでいる。互いをそして自然を身近に感じながら、自由で自立した生活を送るという夢をかなえたのだ。ところがある悲劇が襲い、一家が築いてきた世界が根底から覆されてしまう。

この記事を書いた記者

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成澤誠
放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。