映像情報 メディア学会 冬季大会、12月24~25日に東京理科大学 森戸記念館で開催
一般社団法人映像情報メディア学会(ITE、鈴木教洋会長)は、12月24日(火)~25日(水)に、東京理科大学 森戸記念館(東京都新宿区)において、「2024年映像情報メディア学会冬季大会」を開催する。99件の一般講演では、映像表現・CG、メディア工学、センシング、立体メディア技術などから最新技術や取り組みが報告される。また、毎年好評な企画イベントでは、生成AI、360度映像、日・英における地上波デジタルなどホットなテーマについて第一人者を招き講演が行われる。今回もZOOMを併用したハイブリッド開催を予定している。
今回も例年通り企画・特別イベントに注力しており、興味深いテーマについて講演などが行われる。初日の24日には、企画セッション1(13時~14時50分、会場A)として「生成AI・SNS時代における情報の信頼性確保と出所・来歴認証技術」(企画:大会実行委員会)が行われる。近年、生成AIの発展やSNSの普及により偽・誤情報の作成・拡散が問題となっている。偽・誤情報は、事実の情報を上回るような強い拡散力を持っており、国際情勢や経済などに大きな影響を与える可能性がある。そのため、情報を発信する企業や個人だけでなく、情報の受け手も情報の信頼性に十分に注意する必要がある。その様な背景のもと、Content Authenticity Initiative(CAI)/Coalit ion for Content Provenance and Authenticity(C2PA)やOrigi nator Profile(OP)といった情報の出所・来歴認証技術が注目されている。本企画セッションでは、放送局やメーカーの偽・誤情報への対策からCAI/C2PA、OPの取り組みやその技術について講演する。
座長は藤井亜里砂氏(NHK)、講演者はアドビデジタルメディア 製品戦略部 西山正一氏、慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科/オリジネーター・プロファイル技術研究組合 クロサカ タツヤ氏、NHK放送技術研究所 ネットサービス基盤研究部 大竹 剛氏、フジテレビジョン 技術局 技術戦略部 伊藤正史氏。
企画セッション2は「360度映像の最新動向と今後の展望」(企画:情報センシング/情報ディスプレイ研究委員会、24日14時20分~17時40分、会場A)。近年、360度を撮像できるカメラは、コンシューマ向け、業務用向けなど多様な製品が登場しており、映像品質や撮影技術も格段に向上している。また、360度を表示できる表示装置もプロジェクション方式に代わってLEDディスプレイを使用するドーム型シアターが登場し、高輝度・高精細のこれまでにない映像体験を提供するこが可能になっている。本企画では、360度映像における撮像・表示・コンテンツ制作の最新技術を紹介し、没入体験型コンテンツの発展に向けた将来展望について講演する。
座長は林田哲哉氏(NHK)と薄井武順氏(NHK)。講演者はリコー 先端技術研究所 HDT研究センター 佐藤裕之氏、ジュエ システム構築エンジニアリング部 西條結城氏、コニカミノルタプラネタリウム 技術部開発グループ 黒木純氏、NHK 報道局 映像センター 新井田利之氏。
25日の企画セッション3は「生成AIの現状について語る」(10時~12時、会場A)。生成AIの技術革新は目覚ましいスピードで進み、2021年以降多くのLLM(Large Language Models)が発表され、パラメータ規模は指数関数的に増加している。特定の産業や特定の言語に特化した特化型モデルも開発され、金融、医療、教育など、さまざまな産業で生成AIの応用が拡大している。また、画像や音声などを扱うマルチモーダル生成AIや、ロボット技術と組み合わせた新たな応用分野も登場している。
そこで、同企画セッションでは、同分野で活躍している人達を招き、生成AI研究の具体的な取り組み内容と、今後の発展の方向性について講演とパネルディスカッションを行う。座長兼司会者は鈴木教洋氏(日立総合計画研)/映像情報メディア学会 会長。パネリストは花沢健氏(NEC データサイエンスラボラトリー 所長)、穴井宏和氏(富士通 富士通研究所 プリンシパルリサーチダイレクター)、和田真弥氏(KDDI 経営戦略本部 Data&AIセンター長)、柳井孝介氏(日立製作所 研究開発グループ AIトランスフォーメーション推進プロジェクトリーダ)。各パネリストが自己紹介+生成AIの取組みや今後の展望を各人より15分程度ショートプレゼンを行い、生成AIによる生産性向上の実態や生成AIの課題と対応策についてディスカッションし、若い研究者へのメッセージも発信する。
企画セッション4は「2023年度各賞受賞企業による記念講演」(企画:大会実行委員会、25日13時~14時50分、会場A)。2023年度に同学会が主宰する各賞を受賞した企業の人々の協力を得て、記念講演企画を行うこととした。いま放送の現場で用いられている技術や、次世代の放送を予感できる技術、そして研究の最前線の技術について、それぞれわかりやすく、親しみやすく紹介する。各企業でどんな研究開発が行われているかについて、企業の特色も垣間見ることができ、大学関係者、学生にも貴重な機会となっている。
座長は森本聡氏(フジテレビ)。講演者はテレビ北海道 技術・DX推進局 高橋康二氏、KDDI総合研究所 XR部門 3D空間伝送グループ 海野恭平氏、富士通 コンバージングテクノロジー研究所 グリーンイノベーションCPJ 宮崎信浩氏、日本テレビ放送網 技術統括局 デジタルコンテンツ制作部 岸楓馬氏、KDDI総合研究所 XR部門 3D空間伝送グループ 野中敬介氏。
企画セッション5は「日・英における地上波デジタル放送をとりまく諸課題」(企画:大会実行委員会、25日15時30分~17時10分、会場A)。
総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」の「小規模中継局等のブロードバンド等の代替に関する作業チーム」より「第3次取りまとめ案」が提示された。この案では、IPユニキャスト方式での放送コンテンツ配信は放送の代替手段になり得ると結論付け、制度整備へ前進した。総務省 小林祐介氏が今後の制度化へ向けた課題について解説する他、東京理科大学 伊丹誠氏が「地上波による超高精細度テレビジョン放送等の更なる高画質化を図るために必要な技術的条件」、マルチメディア振興センター 飯塚留美氏が「英国における地上波デジタル放送の現状と未来」を講演する。座長は森本聡氏(フジテレビ)。
(全文は12月16日号3面に掲載)
トップ画像は昨年のセッションの模様
この記事を書いた記者
- 放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。
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