NHK 「2023年度インターネット活用業務実施計画」
NHKは、「2023年度(令和 5 年度)インターネット活用業務実施計画」(以下、「2023年度実施計画」)を発表した。「2023年度実施計画」はインターネット活用業務実施計画(以下、「実施基準」)に則って実施するNHKインターネット活用業務の内容を示すもの。 NHKは、放送法の精神に則り、公共の福祉のために豊かで良いコンテンツを提供するという使命を担っている。新型コロナウイルス感染症への対応は新たな段階を迎えたが、ウクライナへの軍事侵攻などにより、社会・経済の先行きは、依然、不透明だ。メディア環境と視聴スタイルが大きく変化し、情報空間が放送以外にも広がる中で、NHKは信頼される「情報の社会的基盤」としての役割を果たしていくという。正確で公平、公正な情報を発信して健全な民主主義の発達に資するとともに、一人ひとりの暮らしを守り、豊かさや教育、福祉、文化の創造に貢献する。さらに地域社会の維持・発展や日本と国際社会との相互理解に寄与し、公共メディアとして視聴者・国民から信頼され、必要とされる存在を目指す。 NHKのインターネット活用業務は、放送を補完してその効果・効用を高め、国民共有の財産という性格をもった放送番組等を広く国民に還元するなど、放送法第 15 条に掲げられたNHKの目的を達成するために実施する。環境の変化や技術の進歩発達に適時・適切に対応しながら、信頼される「情報の社会的基盤」としての役割を果たしていくために、放送番組と理解増進情報の提供を行う。新しい技術を積極的に取り入れながら、インターネットならではの特性を生かして、「いつでも、どこでも」利用できる多種多様な情報を発信していく。 地上テレビ常時同時配信・見逃し番組配信サービス「NHKプラス」では、総合テレビと教育テレビ(以下、「E テレ」)の番組に「いつでも、どこでも、何度でも」触れられるサービスを提供し、この他の放送番組の提供とともに、視聴機会を拡大する。 NHKがインターネット経由で提供する理解増進情報は、特定の番組に関連付けられた補助的な情報の範囲のものに限る。理解増進情報の提供により、番組の周知・広報や、番組内容の解説・補足を行う。また、放送番組等を再編集、再構成してインターネット経由で提供することにより、国民共有の財産という性格を持った放送番組等を広く国民に還元するなど、放送だけでは提供しきれない情報を発信していく。 インターネット活用業務の実施にあたっては、実施基準を順守するとともに、受信料制度の趣旨に照らして不適切とならないこと、業務の実施に過大な費用を要するものとならないこと等、放送法の趣旨に沿って適切に実施する。また、NHKが提供するインターネットサービスを安心して使用できるよう、各サービスの提供にあたっては、万全のセキュリティ対策を講じる。特に、個人情報、視聴関連情報その他の情報については、法令やNHKが定める関連規程等に則り、適切な安全管理に努め、そのために必要な措置を講じる。 受信料を財源として実施するインターネット活用業務については、効率的・効果的に実施するとともに、経理の透明性も確保する。受信料財源業務の費用については、実施しようとする業務が真に必要で有効なものか、受信料財源により賄うことが妥当かどうかなどの観点から不断に点検し、実施基準に示した費用の範囲の中で、抑制的に管理する。地方向け放送番組の提供や他の放送事業者との連携・協調、またユニバーサル・サービスや国際インターネット活用業務への取り組みについては効率的に行うよう努めつつ、公益性の観点から積極的に実施する。特に、放送法上の努力義務に係る取り組みである地方向け放送番組の提供については、効率的な配信方法を検証しながら段階的に充実を図るとともに、民間放送事業者が行うコンテンツ配信業務への協力については、放送において培ってきた民間放送事業者との二元体制を踏まえ、相互にメリットをもたらす連携・協調の一環として、適切に進めていくという。 放送番組等の提供を伴う社会実証については、放送と通信の融合が進む中でNHKのインターネット活用業務が果たしうる社会的役割を検証することを目的としており、実施については社会的要請を踏まえて検討する。 インターネット活用業務実施計画の主なポイントは以下の通り。 【NHKプラス】 ▽原則すべての放送時間で同時配信を提供:総合テレビ1日24時間Eテレ19時間程度※2022年度と同様 ▽地方向け番組の提供:18時台ニュースの見逃し番組配信を拡大し、すべての放送局の配信実施※2022年度は拠点放送局(8局)、関東甲信越(6局)、関西(5局)の配信実施 【実施に要する費用】 ▽2号受信料財源業務の費用は197億円※2022年度予算は190億円 【周知広報】 ▽放送番組の周知広報:衛星波の再編にあたり新チャンネルの魅力を伝える 【3号受信料財源業務による新サービス】 ▽在外邦人向けテレビサービス「NHKワールド・プレミアム」を動画配信事業者にも提供※費用は3号受信料財源業務で0・8億円
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