日本ケーブルテレビ連盟が定例会見 新4K8Kの対応動向
一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟(JCTA、東京都中央区、吉崎正弘理事長)は、3月6日に連盟内(東京都中央区)で、定例会見を開いた。 『新4K8K衛星放送対応とBCP(事業継続計画)対応に関する説明会』について二瓶浩一理事が発表した。説明会は1月23日にフクラシア東京ステーション(東京都千代田区)で行われた。連盟の3委員会共催で、150社256人が参加した。「開催趣旨は、放送開始まで1年を切った新4K8K衛星放送対応、可及的速やかな対応が必要と考えるBCP対応に関する、説明会開催時点での情報をアップデートしたもの」。 説明会では『4K8K意向調査』結果が示された。昨年11月末の集計で、正会員オペレータ372社のうち210社が回答。4K本放送に対応する意向と答えたのが総接続世帯数(2650万世帯)の約90%にあたる事業者だった。実数では回答した210社のうちの155社としている。そのうち、2018年12月に開始する意向を示したのは総接続世帯数の約85%だった。なお、対応しないと答えた事業者からの理由は投資負担、需要がみえない―だった。また、8K対応を検討したい―との回答は総接続世帯数の約64%(67社)という。 また「再放送同意」に向けた交渉に関する現状報告があった。A―CASスキーム参加への案内があった。トラモジHE/IFパススルーHE調達に関するアップデート、BS右旋帯域再編対応に関するアップデートが行われた。 伝送路高度化タスクチームに寄せられた相談内容や対応ケースの共有もなされた。これは、FTTH化実施済みの事業者が蓄積した経費節減、ネットワーク設計等の貴重なノウハウを、今後実施する事業者に横展開することを目的に、連盟の技術委員会傘下にタスクチームを設置し、先行オペレーターの技術担当者と日本ケーブルラボ、連盟の技術部による相談窓口を運用しているもの。いちばん関心の高かったのは経費の部分だったという。 次いで、説明会ではセットトップボックス(STB)ベンダー(テクニカラー・パイオニア・ジャパン、パナソニックシステムソリューションズジャパン、KDDI)による「新4K8K衛星放送対応STB」の説明があった。具体的には、第3世代STBの視聴ログ収集、端末遠隔管理(ACS)の導入について(STBと接続したACS(Auto Configuration Serve)が実現する機能について〈初期設定配信、遠隔設定管理、ファームウェア管理、ログ収集〉説明があった。そして『第3世代STB設置開始のタイミングにあわせて稼動する計画である』と説明があった。 二瓶氏からは、共同調達(幹事会社4社)であるテクニカラー・パイオニア・ジャパンのSTBに関しては第2次共同調達の追加オーダーを受けている段階で3月末までに取りまとめるとし、今、オーダーすれば間に合うとの発言があった(第1次共同調達数は10万台)。ほかのベンダー各社の今後の市場投入状況についてもコメントがあった。第3世代STBの総数において12月までに十分対応できるとの認識を示した。 質疑応答で吉崎正弘理事長は「ケーブルテレビ業界での4K8K対応についての評価だが、いちばんポイントになるのは受像機。今、4Kのパネルは400万台出荷されており、分母を5200万世帯とすると8%。売れているテレビの4割が4K対応テレビ。6割が2K。大型テレビでは4Kが主流。ただ、チューナー付きがない。若干、買い控え傾向にある。年末商戦にはチューナー付きの4Kテレビが出てきて8%が10数%くらいになるのは予想できる。(ということを前提に)ケーブルテレビはどう向き合うか。ケーブルテレビ経由でテレビを見ているのは5200万世帯のうち3000万世帯。そのうちSTBを付けて多チャンネルで見ているのが800万世帯。STBはだいたい年間100万台程度、1台あたり10年程度で入れ替わっている。去年は若干の交換控えがあった。今回の第3世代に向けて、各オペレーターは準備するために買い控えしているとみている。ちなみにこれまでの2・5世代STBは『ケーブル4K』は映るが高度BSは映らない。こうしたことから第3世代STBの入れ替えは100万台くらいかと思うが、ただし4Kパネルをお持ちでないお客様に第3世代STBを入れてもしょうがないので、それぞれのエリアの中で4Kテレビをお持ちのお客様、10数%のところをどうみながら、そのお客様にどう第3世代STBを入れていくかだ。現在売られているチューナーが付いていない4K対応テレビは高度BSを見ようとすれば外付けチューナーを付けないと直接受信ができないので、言葉を変えていえば、第3世代STBを入れれば外付けチューナーはいらないということで、未加入開拓にはケーブルテレビは追い風がある。個社が地域のお客様普及動向などをみながらどう対応していくか考えていくことになるだろう」と話した。価格帯は当初の7万5千円程度から2万数千円程度で10万台程度確保できたという。発注時期等は個社が判断する段階で、もう業界全体でどうこうではなく、個社の判断に委ねるとした。 8Kについては「視聴者への端末の普及状況を見ながら12月の段階でどう対応するかだ。(調査結果をみると)個社は12月で様子をみるという数字になっている」と述べた。 プラスチック製の光ファイバーについては「はっきりいってやってみなければわからない。集合住宅ではケースバイケースなので、モデルケースのひとつでプラスチック製も手段のひとつとみている」と述べた。 『ケーブル4K〈HD版〉開局について』で粂野靖男コンテンツ部部長は「ケーブルテレビ業界共通の4K専門チャンネル『ケーブル4K』のHD版が4月1日開局する」と発表した。これは、「ケーブル4K」で放送中の番組を、より多くの人に知ってもらうため、4K番組をハイビジョン画質に変換し、通常のテレビでも視聴できるようにしたチャンネルで、名称は「ケーブル4K(HD版)」。このチャンネルは、日本デジタル配信(東京都千代田区、河村浩社長)が運営する。大部分は「ケーブル4K」と同じ番組が放送される。「ケーブル4K(HD版)」は、同チャンネルを導入するケーブルテレビ事業者により提供される。なお「ケーブル4K(HD版)」は、「ケーブル4K」のPRを目的に暫定的に導入されるもので、画面内には、4Kをハイビジョン画質に変換して放送している旨のテロップが表示される。そして、4K映像での視聴については、今年秋頃から提供されるセットトップボックスにより見られる。「 「第44回 日本ケーブルテレビ大賞 番組アワード」について粂野コンテンツ部部長が説明した。同アワードは9月6日・7日に「ITSCOM STUDIO&HALL二子玉川ライズで開かれる。1日目は贈賞式、2日目は「コンテンツ スタジアム」。今年は、新人賞部門を新設した。応募部門はコンペティション、コミュニティ、4K、新人賞の4部門となった。応募締め切りは4月27日で8月初旬にもノミネートを予定している。 「ケーブル・アワード2018」について角田俊哉放送制度部部長が説明した。同アワードでの「第11回ベストプロモーション大賞」はエントリー期間が3月27日~4月16日で、テーマは「ケーブル=(イコール)地域とスポーツの連携」。今年のアンバサダーは元ラグビー日本代表の大畑大介氏と発表した。
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