新春特別インタビュー NHK前田会長に聞く「覚悟を持ってあらゆる改革を実行」
2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、東京オリンピック・パラリンピックが延期されるなど、社会的・経済的に大きな影響を受けた。NHKも例外ではなく、大河ドラマや連続テレビ小説の収録がストップし、放送予定が変更になるなど、番組制作に様々な影響があった。そのような中でも新たな取材・制作手法や番組スタイルにチャレンジを進め、働き方改革にもつなげている。また、2021年度からスタートする次期経営計画の検討作業を実施するとともに、新しい東京・渋谷の放送センターの建設にも着手している。 2019年1月に新たに会長に就任した前田晃伸氏に、就任からの1年を振り返ってもらうとともに、新型コロナウイルスの影響と対応、様々な改革の進捗と課題、常時同時・見逃し番組配信サービス「NHKプラス」の状況、減災防災報道への取り組み、次期経営計画と「新しいNHKらしさの追求」などについて聞いた。 ――1月でNHK会長に就任されて1年となります。この1年間の振り返りと特に心に残った出来事などをお願いします。 前田会長 昨年1月25日に就任して、まもなく1年経ちますが、あっという間の1年でした。就任直後に新型コロナウイルスの問題が発生して、日本でも緊急事態宣言が出される事態となりましたが、NHKは、命と暮らしを守る公共メディアとしての使命を果たすため、総力を挙げて対応しました。感染拡大を受け、番組の制作・取材体制に大きな影響が出たほか、対面での営業活動を見合わせたことで、事業収入は大幅な減収となりました。しかし、そうした状況の中にあっても、職員が一丸となって、正確・迅速で多角的な報道や、子どもたちの学びを支える教育コンテンツなどの公共性の高い情報・番組を、多様な伝送路を通じて提供し続けました。こうした取り組みへの評価について、インターネットで行った調査では、NHKの対応を「評価する」「どちらかというと評価する」と答えた人が4月の時点でおよそ80%に達し、一定の評価をいただけたものと受け止めています。 4月からはインターネットでの常時同時・見逃し番組配信のサービス「NHKプラス」を本格的にスタートさせました。これまでに100万を超える登録申請があり、「いつでも、どこでも、何度でも」NHKの公共性の高いコンテンツをお楽しみいただけると、ご好評を頂いています。いっそう便利にご利用いただけるよう、改善を進めたいと思います。 この1年で特に注力したのは、来年度・2021年度から始まる次期経営計画の検討作業です。NHKに長年積み重なってきた課題を解決するため、会長直属の特命プロジェクトを立ち上げて、半年間で報告書の取りまとめを行うなど、さまざまな改革の検討をスピーディーに進めました。次期経営計画は、「新しいNHKらしさの追求」をキーコンセプトに、減収局面でもコンテンツを充実させて、視聴者・国民のみなさまの求める多様性や質の高さを実現させたいと考えています。そのために、これまで「波別」に行っていた放送番組の管理を「ジャンル別」の管理に変えて、重複する内容の番組を削減し、質の高いコンテンツの制作に経営資源を集中させるほか、コスト構造の徹底した改革や放送波の整理・削減に向けた検討などを進めて、「スリムで強靭なNHK」へと生まれ変わらせたいと考えています。 (全文は1月4日号に掲載)
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