NHK NHKプラスの登録を3月1日よりスタート 1アカウントで5ストリームまで可能
NHKはこのほど、4月1日開始(3月1日から試行)の常時同時配信・見逃し番組配信「NHKプラス」について、メディア向け取材・体験会を開催した。 NHKプラスは、4月1日より毎日午前6時から翌日午前0時まで1日18時間程度実施される。3月1日から試行的に実施し、午前7時から翌日午前0時までの1日17時間程度配信する。放送の補完として実施するもので、受信契約者と生計を同一にする人は、追加負担なく利用できる。1アカウントで最大5つの同時ストリーミングが可能。NHKでは5端末ではなく、5ストリームとしているが、これは同一端末でアプリとブラウザー(予定)で同時に配信を見ることができるため。また、事業所契約については、当面はサービス対象外になる。 サービス対象となるのは地上2波の総合テレビと教育テレビ。サービス開始時は、南関東エリア(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)を対象とした放送を全国に、放送と同時に配信する。遅延は約30秒。同時配信の場合は画面右下の「LIVE」アイコンが赤に、見逃し視聴時は白で表示される。視聴中は30秒送り/10秒戻しが可能な他、シークバーで任意の場所を指定して観ることもできる。 NHKプラスのもう一つの特徴が見逃し配信。放送終了時刻から起算して7日間実施するもので、大河ドラマの場合、前回の話数が視聴できるのは、次回分の放送(最新話の同時配信)が終了するまでの時間となる。また、見逃し視聴中に、緊急ニュース(震度6弱以上の地震や、大津波警報など)があった場合は、自動で同時配信に切り替わるが、該当しない地域の人などは、手動で見逃し配信へ戻ることもできる。見逃し配信の視聴時には「チャプター」も利用でき、一部のニュース番組で、特定の話題・シーンの項目名がリストアップされ、観たい部分をタップするとそこから再生可能。チャプターの生成はNHKが手動で行なうため、放送後、約1~2時間以降から利用可能になるという。 番組単位でネット配信の権利確保ができていないものは“ふたかぶせ”となり、ニュースは映像単位で“ふたかぶせ”となる。ふたかぶせのベースバンド部分は完全にオンプレで実施しており、メッセージが入った映像と、入っていない映像の2種類を制作し、受信契約を確認できた人と、そうでない人がアクセスできる場所をまったく変えている。ここまでがオンプレで、そこから先の配信基盤のファイル化やプレイリストの作成などはデータセンターとクラウドを併用している。NHKオンデマンド(NOD)とは、ベースバンド系を切り分けるところなど一部は共用しているが、基盤自体は全く別となっている。コーデックはH.264、ファイル形式はwindowsとAndroidがMPEG―DASH、iOSがHLSを用いている。配信ビットレートは最大1.5Mbps(SD画質相当)と低めに設定されているが、通信環境を考慮したものだという。放送と違い、通信は場所や時間により環境が変化する可能性がある。このため、低いビットレートに抑えているが、将来的には5Gの普及やWiFiの高速化などに伴い、高画質化する可能性もあるという。 体験会では、NHKの池田伸子アナウンサーがサービスを説明した。また、池田さんは体験会に先駆けNHKプラスを約1週間使用しており、その感想なども語った。池田さんはNHKプラスについて、NHKは放送を通して色々なコンテンツを届けてきたが、新たな接点ができることになる。この接点を通して皆さまにNHKではこんな番組をやっている、こういうことが社会で起こっているとか、実際につかってもらって体験をしてもらいたいとした。また、選択しないとみないニュースはたくさんあるが、接点を通じて公共性の高い情報を暮らしの中にプラスしていきたいという思いも込めて「NHKプラス」としたと述べた。 課題としては、検索機能を挙げた。アプリには、キーワード検索機能があるが、完全に一致しないと検索されない。ひらがなと漢字、ひらがなとカタカナなどにも対応する “あいまい検索”ができるようになればより便利になる。例えば朝ドラのスカーレットの出演者が、別のインタビュー番組や、Eテレの対談番組にも出ている場合など、関連番組もよく観られるようになるのではと語った。 NHKプラスの登録方法について、NHK デジタルセンター 専任部長の前田浩志氏が説明した。利用にあたっては、NHKの放送受信契約が必要で、まず案内ページにPC、またはスマートフォンでアクセスするか、iPhone/Android向けにはアプリもダウンロードする。案内ページやアプリから、メールアドレス、放送受信契約情報(受信契約者氏名)を入力し、ログインID、パスワードを設定する。この利用申込み直後から同時配信と見逃し番組配信を視聴できる。 受信契約の確認がとれ次第、契約住所にハガキが届き、その案内に沿って入力画面に確認コードを入力すると、利用登録が完了する。契約していない場合は、画面に契約の確認を促すメッセージが表示される(災害時などはメッセージが外れる)。
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