NHKエンタープライズ&NHKテクノロジーズ 『カナシミの国のアリス』を上映
NHKエンタープライズとNHKメディアテクノロジー(現NHKテクノロジーズ)は、このほど日本科学未来館において共同で制作した「8K×3D×interactive『カナシミの国のアリス』」を上映した。 アストロデザインと慶應義塾大学SFC研究所 次世代映像コンソーシアムが主催するMADD.が、3月30日~31日に日本科学未来館において「MADD.Award2019 screening」を開催した。『カナシミの国のアリス』は同アワードのエキジビションとして上映されたもの。 『カナシミの国のアリス』は、NHKエンタープライズとNHKメディアテクノロジー(現NHKテクノロジーズ)が共同で開発してきた「8K:VRプロジェクト」の第3弾になる。第1弾「8K:VRシアター」、第2弾「8K:VRライド」に続くもので、最大の特徴はテクノロジーではなく、ファンタジックな“世界観”を打ち出した点にある。これまでは音楽をテーマに、モーションライドなど様々なテクノロジーを駆使していた。今回も新たな技術を多数導入しているが、それらを余り意識せずに「物語」を体験できること重視している。 また、『カナシミの国のアリス』でこれまで大きく異なるのは、タイトル(8K×3D×interactive)にも掲げられている“インタラクティブ”で、観客は単に映像を見るだけでなく、様々な形で作品に参加することができる。これを実現させるために大きな役割を果たしたのが開発環境「TouchDesigner」TouchDesignerを用いてインタラクティブな映像をリアルタイムに3D描画を行う。さらに、TouchDesignerにデンソー製3Dセンシングシステム(3DLiDAR)を組み合わせることにより、舞台上の観客をセンサーで読み取り、その人数に合わせてシャボンを出現(リアルタイム3Dコンポジション)させたり、観客の下にうごめく影を出現(リアルタイム3D描画)させたりできる。さらに、会場にはマイクも設置されており、マイクから拾った音を基に音の波形をリアルタイム3D描画したり、拍手の音をきっかけにシャボン玉を花に変化させるなどの演出も行っていた。これにより、絶えず映像が変化するだけでなく、観客の数や位置、拍手の数などにより、毎回違った演出になるという。 『カナシミの国のアリス』では、正面スクリーンに8K3D映像と、スクリーンの下の舞台に4K2D映像を組み合わせ上映された。8K3D映像は、アストロデザイン製の8K/120p対応プロジェクター2台を用いて投映。3Dはフレームシーケンシャル方式で、専用のメガネを用いて鑑賞するもの。4K2D映像は天井に設置されたプロジェクターで投影する。音響は最大22・2chに対応するが、今回は9・2ch。前述に通り、床面は舞台となっており、演出に合わせて振動などを加えることで、より没入感を高めるようにしていた。 なお、『カナシミの国のアリス』は、「現代の東京に生きるある女の子が束の間、異世界に逃避行をする」というもの。8K3D映像の撮影は、REDの8Kビデオカメラ2台により、ハーフミラーを用いて撮影されたという。
この記事を書いた記者
最新の投稿
- 実録・戦後放送史2024.09.02連載にあたって
- 筆心2024.09.022024年8月26日(第7712号)
- 放送ルネサンス2024.09.02放送100年特別企画 「放送ルネサンス」第1回
- 放送2023.09.01ビデオリサーチ 災害情報入手経路の7割が地上波民放テレビ