Inter BEE2022 出展各社のみどころ NHKテクノロジーズ
NHK テクノロジーズ(NT)は、国際放送機器展「Inter BEE 2022」にNHKエンタープライズ(NEP)と共同出展する。今回の出展テーマは「超体験!~メディア技術で拓く未来~」。 2社での共同出展は初めての試みであり、NT 出展事務局担当は「NEPは自らが実現したいことを目指し技術を開発するアプローチをします。一方、NTは長年手掛けてきた技術をどのようにより良くしていくか、また環境の変化にいち早く対応していくかという方向にあります。技術のアプローチの違いを楽しんでいただけたらと思っています。」と語る。 NTの展示は合計10項目で、今年は一段と展示方法に工夫を凝らしており、昨年見た人でも改めて楽しめる内容になっているという。 同社では研究開発活動「テクラボ」を推進しているが、今回の展示でもテクラボから生まれた展示(開発案件)も複数紹介する。 NTは、Inter BEE出展に向け、WEB展開の部分で特に若手の参画が目立つという。「各部署から今年入社した新人などを含む若手約20名が参画しています。ほとんどが入社2年目前後の社員です。若手にはWEBの更新や新規項目を立てるなどを担当してもらいました。Inter BEEに向けて、直接展示に関係する人だけが動くのではなく、若手を含めて全社的に動く、そういう取り組みを今年も続けています」(NT事務局)。 「感情表現字幕システム」は、大日本印刷と共同開発している技術で、話す人の感情を AI で読み取り、デザイン性の高い字幕を自動生成する。昨年の展示ではその技術をアプリ化したものを展示した。今年はNHK開発の「まねっこどーもくん」とコラボ展示を行う。来場者はカメラに向かって動き、マイクに話しかけることでどーもくんとのコミュニケーションを実体験できる。自分が表現したことに対して、フォントが変化した字幕が表示される等、視覚的な情報を増やすことで伝わり方の広がりを感じてもらうのが狙いだ。 より身近にマルチチャンネル音響の高い臨場感や没入感を体感してもらいたいという想いから開発された「22・2ch音響対応 MPEG―H 3D Audio (Level4) 制作・配信/受信システム」を展示。22・2ch音響は自宅などパーソナルな場面で楽しむ手段が少ないのが実情だ。同システムは、受信側で任意のスピーカーレイアウトに変換し、ホームシアタースピーカーやサウンドバー、ヘッドフォンを使うことで、より身近に22・2ch音響を体感できる仕組みだ。当日は渋谷から8K 22・2ch音響を配信し、会場で 5・1・4ch スピーカーで再生するライブデモを実施するほか、制作ツールやスマートフォンアプリケーションを使用したバイノーラル視聴を紹介。さらに、NHK交響楽団の協力により、コンサートの模様を8K 22・2ch音響で収録した映像/音声を同システムで配信し、高精細、高臨場感で演奏を楽しめる、体験型展示となる。 「なんでも、いくつでも、そのまま収録」できるIP映音マルチトラックレコーダーも紹介。音声のマルチトラック収録は当たり前に行われているが、映像は1台のカメラに対し1台の収録機(ストレージやメディア)が必要となっていた。つまり1台の収録機で複数の映像をまとめて記録することができなかったが、今回の開発でIT技術を駆使して一元的に収録を可能にしている。8Kにも対応しているため、ブースでは8K ST2110 VICO IP プレイヤーとして展示する。テクラボで開発した開発案件となっている。 「遠隔監視ができる簡易 V―ONU」もテクラボの開発案件となる。光システム共同受信の故障診断は、原因を探すため V―ONU の状態を現地で個々に確認する必要があるが、作業場所が高所や収納箱に格納されていることも少なくなく、確認するには手間がかかり作業効率は良くないという。そのため、V―ONU の光信号の有無や通電の有無などを検出し、ネットワークを介してスマホやPCで監視できる簡易ウォッチャを開発したもの。これにより、実際に人が現地に行く前に、故障個所や原因を特定することが可能になり、故障診断の切り分けが容易となる。また、故障個所や原因を特定できれば、修理方法や交換部品も事前に用意できるため、作業効率の向上にもつながる。実機を静展示し、遠隔監視のモニター画面やパネルなどで解説する。ブース・8114/8115(全文は11月16日付3面に掲載)
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