パナソニック 東京オリ・パラでは2000億円の売上見込む

 パナソニックはこのほど、「第3回スポーツビジネス産業展」に出展し、これに合わせて、同社のスポーツ事業に対する考え方や取り組みを説明するスポーツ事業セミナーを開催した。 同社 東京オリンピック・パラリンピック推進本部 スポーツ事業推進部 部長の笹木秀一氏が「パナソニックのスポーツビジネスイノベーション」として説明した。まず、同社とオリンピック・パラリンピックの関係について、カルガリー1988冬季大会から30年以上にわたりオリンピックをサポートしてきた。2014年には日本企業としては初となるパラリンピックのワールドワイド公式パートナー契約を締結した。リオ2016、平昌2018冬季大会では開閉会式の運営をサポートした。単に機器を納入するだけでなく、プラニングやオペレーションにも深くかかわり、プロジェクトマネージメントの知見を得ることができたという。なお、スポンサー契約期間は、オリンピックは2024年まで、パラリンピックは2020年まで。 何故、パナソニックがスポーツビジネスに取り組むのかについては、スポーツは人が集まり喜び合う空間を創出するが、同社との親和性が高いとした。また、スポーツ団体運営とソリューション技術の両面を活かして、新たな事業領域を創出できるという。背景としては、スポーツ市場は人口減少時代における成長産業であり、世代をつなげる数少ないコミュニティとなる存在。スポーツをハブに新しい結びつきを創出し、国際スポーツ団体やパートナー企業との連携を拡大する。同社のリソースを掛け合わせ、スポーツビジネスの収益化を実現する。 具体的には、既存の「物販的事業」から、ICT活用の「サービス型事業・コンテンツ型事業」へ展開する。映像/音響や照明など既存の「物販型事業」は同社の強みであり、国立競技場への設備納入などスポーツの現場への実績を多数築いている。今後も最新のテクノロジーを投入し注力していくが、これに加えてサービス型事業やコンテンツ型事業にも展開していく。サービス型事業では競技場サービス(演出・入退場・チケッティング・ITシステム)、デジタルマーケティング(戦略・実行支援・データ分析)などを行う。さらに、運営型事業として、スマート・スポーツタウン(複合型スタジアム/アリーナ)や保有スポーツ資産の活用~事業運営(スタジアム高稼働率化)につなげていく。 実例として、ガンバ大阪との協働を挙げた。観客動員数が減少していた2018年4月にパナソニックからメンバーを送り込み、マーケティング改革を推進した。これにより、戦績だけに左右されない集客を目指し、2019年度は前年比118%の観客動員数を達成した。デジタルマーケティングでは、課題抽出~活動お取り込みまでのPDCAサイクルを丹念に行い、Jリーグが提供するデジタルマーケティングPFを最大限に活用し、集客マーケティングを協働立案した。 さらに、パナソニックスタジアム(吹田)での車いすでの新たなスポーツ観戦の実証実験を紹介した。パナソニックスタジアムは、国内最大級となる344席の車いす席を擁するが、エレベーターの数や緊急避難などの設備の制限から、実際には100席程度の稼働に止まっている。このため、ロボット電動車いすや道中お手伝いサポートアプリ「Mayii」などを実施した。加えて、3Fへのエレベーター輸送の限界を補うため、観戦席までのスロー部移動体験を行った。資材搬入用スローブをロボット電動車いすで安全・快適に走行したもの。 最後に展示会のテーマでもある「Keep Fresh(スポーツの現場が常に新鮮であり続けるために)」を紹介し、チーム/施設側や他社と密接に連携し好循環サイクルを実現する。また、訪れる度に新しい感動体験の提供を目指し、周辺施設連携でエリア活性化も視野に入れている。その一環として、吹田では昨年9月に構想を発表したSuita SSTとの広域連携を計画していることも明らかにした。 なお、パナソニックでは、東京オリンピック、パラリンピック関連で、1500億円の売上げを目標としていたが、すでに2000億円を超える売上げを見込んでいるという。