パナソニックグループ すべてをライブで魅せるLIVE IP×solution
パナソニックグループ(パナソニック、パナソニック システムソリューションズ ジャパン)は、InterBEEに出展し、「報道も・スポーツも・制作も。すべてをライブで魅せるLIVE IP×solution」をテーマに様々な新技術や新製品を展示するとともに、デモも実施した。 中でも注目されたのが新たに開発した次世代IT/IPプラットフォーム。同プラットフォームで今回開発されたのはソフトウェアベースのスイッチャーで、全ての信号をパケット化しGPUで処理する。GPU処理により様々な映像フォーマットの混在運用やスケーリング機能によりマルチスクリーン出力が出来る事と、多くのMEを必要とする複雑な映像表現もGPU上で一括処理されるため、1フレームの低遅延で処理出来る事が大きな特徴。コントールパネル、設定用PC、メインフレームプロセスモジュールで構成され、全てIPでつなぎネットワーク上でシェイクハンドさせて、一体システムとして操作する。ソフトウェアベースのため非常にフレキシブルなニーズに対応でき、例えばコントロールパネルでは好きな場所にキーヤやレイヤーを集めることができるなど、レイアウトフリーを実現する。 ブースでは次世代IT/IPプラットフォームを中心に、8K ROIカメラシステムや4Kスタジオカメラシステム、リアルタイム字幕制作システムといった新世代の製品と組み合わせることで、高度な映像表現と業務効率化を両立する制作方法を、スポーツ中継を再現したデモで示した。8K ROIカメラシステムは、高精細・広画角の8K映像から、最大4つの枠(クロップエリア)を設定し、それぞれHD映像として切り出す撮影システム。4つの枠はそれぞれにパン・チルト・ズームが可能なため、1台の8Kカメラを4台のHDカメラとして運用することができる。デモではBlackTrax製位置検出システムと連携し、4つの切り出し映像全てのアングルが4人のプレイヤーを自動追尾するデモを行った。今回のデモではカメラからのベースバンド(SDI)をembrionix製SFPモジュールでIPに変換し、 Mellanox製イーサネットスイッチを介して100GbEのネットワークでメインプロセスモジュールに映像を伝送した。CGサーバーには「Click Effects(クリックエフェクト)」を採用した。 4K8Kソリューションでは、新開発した8K対応有機CMOSセンサーカメラシステム「AK-SHB810」とイメージプロセッシングユニット「AK-SHU810」を展示。AK-SHB810は、世界で初めて8K有機センサーを搭載したカメラで、8K解像度での広ダイナミックレンジを実現した。8K/4K/HDの同時出力および独立した映像調整が可能な他、HLG/2020、SDR/709のサイマル出力にも対応する。また、8K撮影を確実に行うための4Kフォーカスアシスト機能も搭載している。また、将来的にはグローバルシャッターに対応する予定。 ◇ 例年通り国際展示場でテクニカルスイートを開催した。残念ながら記事化できないものもあったが、いくつか紹介する。 まず、IPソリューションでは、SDI+IPハイブリッド制作システムを展示。従来のSDIシステムをベースに、要所にIP機器を追加することにより複数サブでスタジオ、カメラ、スイッチャーなどを共有し、リソースシェア・リモートプロダクションに対応できる。パナソニックとしては、SDIとIPを比較すると、IPは映像遅延については用途により問題はないが、対応機器の普及やコスト、4K対応まで含めた帯域の確保、運用側のネットワークスキルなどの面でまだ課題が多いため、リソースシェアやリモートプロダクションをしなければIP化する必要やメリットはなく、IP化する場合には、SDIの運用性・保守性を活かしつつ必要に応じてIP化していく”ハイブリッド” システムへのマイグレーションが得策だとしている。そのマイグレーション提案としてスイッチャーAV-HS8300のIP入力ボード/出力ボード、ペリフェラルAV-PF8000のSDI/IPコンバーターユニットの2021年4月商品化を発表した。また、IPシステムマネジメントにおいても、従来のSDIシステムで培った運用性を維持しつつ、NMOSによる利便性をプラスしていくという。 RF/IPハイブリッド館内共聴システムとして、局内IP化に対するソリューションを紹介した。RF/IPハイブリッドSTB(参考出展)およびIP―4Kエンコーダ(参考出展)により、局内のIP化に対応して、RF放送とIP放送を共存させた共聴システムを実現する。RF放送とIP放送で同等レベルの遅延を実現、共に4Kに対応する。RF/IPハイブリッドSTBは、RF放送とIP放送を意識しないシームレスな操作性を実現する。 リアルタイム字幕トータルソリューションでは、生字幕制作・多言語翻訳技術によりあらゆるサービスでの字幕配信の実現を目指す技術・製品を紹介。リアルタイム字幕制作では、AIによる高精度音声認識および直感的な操作で字幕修正が可能(特許出願中)となる他、ANC重畳による字幕送出も可能。多言語字幕サービスでは、独自カスタマイズの翻訳エンジンによりリアルタイム翻訳、複数のサービスでの字幕送出、データ放送(ハイブリッド)、ネット配信(自幕同期機能)にも対応する。
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