日本ケーブルテレビ連盟 「無線利活用委員会」がローカル5Gで会見

 一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟(JCTA)は、2022年12月23日にリアルとオンラインのハイブリッドで定例記者説明会を開催した。 次に「無線利活用委員会」から田村欣也委員長(ZTV社長)が説明した。会見要旨は次の通り。 2030年のケーブルテレビが担うべきミッションと目指すべき姿「2030ケーブルビジョン」のミッションは『地域DXで地域を豊かに、人々を笑顔に』。目指すべき姿~6つのアプローチのひとつが〝ワイヤレスが変わる〟『地域MNOとして第5のモバイルキャリアを目指す』。 ケーブルテレビ事業を拡大させた通信サービスでは、これまでケーブルテレビ業界は、有線ブロードバンド市場の出現、 BSデジタル放送の開始、地上波のデジタル化など、節目となる大きな変化を好機として活かし事業を拡大してきた。スマホは大容量低価格化が進み、家電・自動車・ウェアラブル機器など、あらゆるものが無線通信でつながり、より便利な生活を支える時代だ。「デジタル田園都市国家構想」の推進により、社会全体の通信活用がさらに加速している。 市場の拡大とともに通信サービスも進化している。有線通信、無線通信とも大容量化が進み、映像配信サービスも普及。放送事業もICT市場の一部だ。通信という成長市場の主役は移動系通信。これに衛星系通信が加わる時代に突入している。 社会の基盤として通信インフラの重要性が高まっている。課題先進国とも言われる日本。国全体としてデジタル活用を推進している。自治体、地域の企業とタッグを組み、地域のインフラを活用して、社会のデジタル化に貢献していく。 有線通信事業をベースに、一つ一つ無線事業を積上げる。ケーブルテレビ(CATV)と自治体や地元企業、顧客と手を組む。具体的には①地域の超高速無線網=ローカル5G/超高速 FWA、自治体、企業との地域課題解決(総務省の地域課題解決型ローカル5G開発実証等に積極的に参加)②行政地域ニーズ=IoT/データ収集自動化、BtoB BtoG需要(地域における IoTニーズは年々増加。IoTを活用したビジネスの展開を進める)③地域全体=地域BWA/使い放題無線通信サービスとe―SIMの活用(未整備エリアにおける地域BWAの集中的な整備を進める)④個人=MVNO/低価格スマホサービス⑤世帯=FTTH、HFC/超高速インターネット―で地域課題を解決し持続可能な地域づくりを進める。 次に①令和4年度ローカル5G開発実証の本格検証が令和5年1月から始動②変化が激しいスマホ市場で好調を維持するMVNOの取組―について。 ①では地域事業者として、ケーブルテレビ事業者が4件採択された。具体的には総務省「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」等に係る令和4年度事業の提案の公募の結果〈開発実証事業〉で4年度開発実証採択事業者である次の4社の取り組みについて詳細を説明した。 ▽ローカル5Gを活用した風力発電の設備利用率向上によるカーボンニュートラル社会の実現(秋田ケーブルテレビ〈秋田市〉)▽ゴルフ場におけるローカル5Gを活用したコース運営の効率化及び新たなゴルフ体験の実現(地域ワイヤレスジャパン〈栃木市〉)▽ローカル5Gを活用したAI画像認識によるブリ養殖の効率化に向けた実証(ZTV〈三重県尾鷲市〉)▽ローカル5Gを活用した精製物のAI粒度判定等による離島プラント工場の業務効率化の実現(ハートネットワーク〈愛媛県新居浜市〉―の4社となっている。    ◇ ②に関しては、MVNOトピックス報告「ケーブルスマホによる地域支援 ~MVNO市場におけるケーブルテレビ事業者のアプローチ~」を同副委員長兼MVNO推進タスクチーム主査の白石成人愛媛CATV専務が会見した。会見要旨は次の通り。 「ケーブルスマホ」とは何か。日本ケーブルテレビ連盟は、ケーブルテレビ業界が一体となってMVNO事業に参入できる環境として「業界連携MVNOプラットフォーム」を整備している。「業界連携MVNOプラットフォーム 」にて提供されるサービスが「ケーブルスマホ」である。ケーブルスマホのSIMはIIJ社・KDDI社から卸提供を受けている。 MVNO全体の回線数が減少する中で、ケーブルスマホは増加している。市場環境厳しい中で増加を維持している要因を説明する。ケーブルスマホの主な顧客はシニア層である。ケーブルスマホの強みは訪問、ショップによる「サポート力」である。特にシニア層のスマホ利用をサポートし、地域のデジタルデバイドを解消する。具体的には『宅内での手厚いサポート』がある。ケーブルテレビ事業者は顧客宅内に入れてもらえる。『ショップでの困りごと解決』では、キャリアのショップは予約を取るのも難しい現状がある。ケーブルテレビ事業者は、ショップや本社窓口でいつでも相談しやすい。スマホ教室はもちろん、ワクチン接種予約サポートなども行い地域の困りごとを解決する。 大手通信事業者の3G回線は順次サービスを終了している。3G対応ガラケー利用者への切り替えサポートは、ケーブルテレビ事業者の重要な役割と考えている。 ケーブルスマホの回線数は、ユーザーへの手厚いサポートにより着実に回線数が増加している。2022年10月末には累計回線数が15万回線超。今後も着実に積みかさね、通信分野でも地域ビジネスを拡大する予定だ。 ケーブルスマホは、販売エリアが限定的であるからこそ、地域密着型のきめ細やかなサポートを実施できる。ケーブルスマホとネットのセット販売により、世帯の通信を丸ごと提供する。ケーブルスマホ等のモバイルサービスをフックにケーブルテレビ事業者の顧客を拡大する―と会見で述べた。