ボリュメトリックキャプチャスタジオ

ソニーPCL 最適なバーチャルプロダクションの活用を提案

ソニーピーシーエル(PCL)はこのほど、アップグレードしたクリエイティブ拠点「清澄白河BASE」のメディア向け内覧会を開催した。今回はバーチャルプロダクション(VP)およびボリュメトリックキャプチャスタジオなどについてレポートする。
VP「のメリットについて、同社 櫛山健一郎氏は、「実際のLEDの前で演じる役者さん、制作陣を含めすべてのスタッフが映像をリアルタイムに見ながら画作りができるという点があります。グリーンバックではなかなかイメージの共有は難しかったのですが、その場で確認しながら進めることができます」と述べる。
同社では、様々なジャンルのクリエイターと制作を行ってきた。これらを元にVPのワークフローのアップデートにも取り組んできた。清澄白河BASEは今回大幅にアップグレードしたが、「これは我々としては再最終形ではなく、あくまでも進化の過程だと思っています。
日々最新のテクノロジーを使いながら、クリエイターの方々からのフィードバックを受け、絶えず進化を続ける。理想の画作りができる環境を整えていくことが我々のミッションです」(櫛山氏)。
今回の内覧会では、昨年7月にオープンしたボリュメトリックキャプチャスタジオも公開した。ソニーでは、グループ各社の強みを生かす新規事業探索活動(コーポレートプロジェクト)を進めている。2020年には、ソニーグループ本社ビル内に複数人の撮影が可能なボリュメトリックキャプチャ(VC)専用のスタジオを設置し、グループ横断で関連技術の研究開発に取り組んできた。スタジオの広さは直径6m×高さ3m。
ソニーPCLでは、ボリュメトリックキャプチャ(VC)はCGとは違い、被写体の“ありのまま”を再現する3Dであり、“本物であることに価値があるものをエンハンスする技術”と強調。「本物であることにこだわるなら是非ボリュメトリックキャプチャを活用していただきたい」(ソニーPCL)と述べた。
この他、ソニー製「VENICE」を2台(前後)搭載し同社独自のスタビライズ機能により大幅に振動等を抑制した360度撮影可能な360度カメラカー、空間再生ディスプレイとHMDによる3Dコンテンツ体験なども行われた。
今後の展開について、櫛山氏はバーチャルプロダクション(人材)の育成を挙げた。業界全体としてVPについて専門的な知識や技術を持つ人材が不足していると指摘。これに対応するため、多数の制作実績も有するソニーPCL制作スタッフのノウハウをドキュメント化して公開する。また、VPスタジオへの人的支援として、スタジオ運営スタッフへソニーPCLのエンジニアを派遣する。すでに、海外企業との取り組みが進められているという。(全文は10月25日号3面に掲載)