技研公開 2024 Report②

NHKは、5月30日(木)~6月2日(日)までの間、東京都世田谷区のNHK放送技術研究棟で「技研公開2024」を開催した。今回は、「技術で拓くメディアのシンカ」をテーマに、ARグラスを使ったニュース提示システムや自由に変形できるディスプレーなど全29項目を展示した。

「ARグラス型ニュース提示システム」では、ARグラスが普及する時代を見据えて、多様なコンテンツを3D空間に提示する情報空間デザインの研究成果を展示。ARグラスを使ってユーザー周辺の空間に多くのニュースを一覧性高く配置し、記事を探索・閲覧するシステムを紹介した。
自然言語処理によりニュース記事の特徴を抽出し、関連性の高いニュースが互いに近くに配置される空間マップを自動生成。新しいニュースを目につきやすい高さに配置することで、ユーザーは一覧性高くニュースを閲覧できる。
また複数のユーザーにニュースなどの情報を開示する際に、同じ場所に同じ情報が見えるように提示することで、特定のニュースを指し示すことができるなど、ニュースを起点としたコミュニケーションも促進する。
展示では、ARグラスを装着した体験者の周辺に3日分最大200個のニュース記事を提示。端末のジェスチャー認識機能により、体験者は歩きながら視界の中で気になった記事を手でつまみ寄せ、自由に閲覧する仕組みを体験できた。
同じくイマーシブメディアのコーナーでは、1970~80年代に放送されていた人気子ども番組「できるかな」を最新の3次元空間コンテンツとして再現した「できるかな2030」を紹介。
「できるかな」は、チューリップハットを被り、長身で一切言葉を話さない不思議な存在の「ノッポさん」と、麦わら帽子に茶色の体躯と赤鼻でユーモラスな動きが特徴の「ごん太くん」との交流を描いた教育番組。ノッポさんが即興で制作する遊び道具や工作の楽しさ等で絶大な人気を集めていた。
できるかな2030

「できるかな2030」

 

「できるかな2030」では、実在の空間を3次元のデジタルデータとして取り込み、自由な映像制作を実現したボリュメトリックキャプチャー技術や、コンピュータグラフィックスにより番組を再現。没入感の高い番組空間は、ヘッドマウントディスプレーや迫力の大画面映像と音響で体感できる。登場キャラクターたちが繰り広げるパフォーマンスをすぐ近くや上空などあらゆる角度から観察して没入感たっぷりに楽しむことができる。体験デモでは、参加者が自由にスタンプを押して模様替えしたごん太くんを番組内に登場させる参加型のコンテンツも楽しむことができた。

(全文は6月14日号3面に掲載)

画像は「ARグラス型ニュース提示システム」

 

この記事を書いた記者

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成澤誠
放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。