朋栄が「CONNECT 2024内覧会」

朋栄は2024年6月27日(木)・28日(金)の2日間、東京・恵比寿の本社において「FOR―A CONNECT 2024 内覧会」を開催した。また、同日程で、朋栄グループのビジュアル・グラフィックス(VGI)も「VGI CONNECT 2024 内覧会」を実施。昨年まで同日程であっても受け付けは別々だったが、今年は完全に受付を一本化。来場者の利便性を高め、両社間を行き来しやすい環境を整えた。それも奏功してか、記者が参加した28日は雨が激しく降っていたが、多くの来場者が訪れていた。
会場は第1会場、第2会場、第3会場に分かれており多くの製品や技術・ソリューションを展示していた。今回は第1会場の模様をレポートする。

「SOM―200RDS」

「SOM―200RDS」

4月の2024 NAB ShowでPRODUCT of the YEARを受賞したNMOS RDSソフトウェア「SOM―200RDS」およびRDSフィルタリングAPIオプションである「SOM―20RDS Plus」を使用して、Hi―RDS(階層型RDS)環境でのリソースシェアのデモを行った。なお、過去にメディアが選ぶNAB Showでの賞は受賞したことがあるが、主催者が選ぶ賞を受賞したのは初めてのことという。
放送業界でIP化が始まって約10年が経過している。日本においても徐々にIP化が進んでいるが、様々な問題も顕在化している。最も大きな問題はIP化したのにもかかわわらず、様々な機器・システムが繋がらないことだ。大きな放送局の場合、機器・機材・システムの合計は約1万台にも上る。これらを一気にIP化することは不可能であり、段階的に進めていくことになる。例えばまずAスタジオをIP化、次にBスタジオをIP化、同様にC、D、Eと実施していく。スタジオの特性によりスタジオ構築を行うベンダーが異なることも珍しくない。ここで問題となるのが、スタジオ内がIP化されても、スタジオ同士は繋がらないことだ。セキュリティや帯域の問題もあるが、IPは規格化されているが、完全ではなく、ベンダーが独自仕様を取り入れるケースも少なくない。また、世界的な大規模イベントの場合、世界各地から多くの放送局が様々な機材を持ち込み撮影・中継などを行う。国際共通映像を制作する場合、各社の機材がIP化されていてもベンダーが異なるとやはり繋がらない。このため、IPをSDIに戻してスイッチングなどを行い、さらにIPに戻すということも行われているという。
様々な機器を自由に組み合わせてフレキシブルに使用できるというIP化の大きなメリットが、むしろIP化により繋がらなくなるという本末転倒な状況になっている。
朋栄のSOM―200RDS/SOM―20RDS PlusはNMOSに準拠しており、接続された機器・システムを登録および割り当てを行う。NMOSに準拠した様々な機器を共有機器として扱うことができる。例えば32入力の機器があったとすると、いつも32入力をフルで使用することはなく、4入力しか使わない時もある。この際、他の場所で入力が必要な場合、余った28入力を割り当てることができるので、機器・システムの利用効率を大幅に向上させることができる。
元々は大手放送局からの要望で開発に着手した。大手放送局とは共同で検証を行い、今年1月に製品化の目途が立ったという。11月に開催されるInter BEEではお披露目ができるのではないかとしている。

(全文は7月3日号3面に掲載)

 

この記事を書いた記者

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成澤誠
放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。