グラスバレー Inter BEE 2024
グラスバレーはInter BEE 2024において、「AMPP」と「EDIUS」を中心に展示した。いずれも多くの新機能など大幅なアップグレードを実施し、進化を続けている。今回のInter BEEでの展示のポイントや注目技術・ソリューションなどについて、代表取締役の竹内克志氏と営業統括の三輪信昭氏に聞いた。
「AMPP」は、ライブコンテンツを制作/管理/配信するための効率的で柔軟なワークフローを実現するプラットフォーム。必要なアプリケーションだけを必要なタイミングで利用でき、利用したサービスに対してのみ料金を支払うサブスクリプションモデルを採用。これにより多くのコンテンツを制作し、より多くのチャンネルに配信する、強力でスケーラブル、かつ安全な環境を提供している。
今回の展示でのアピールポイントは「連携」だ。従来から「連携」はAMPPの最大の特徴であり、注力してきたが、様々な取り組みが奏功し、さらに大きな広がりを見せている。
カメラを除くグラスバレーのほぼ全て製品がAMPP対応していることに加え、アライアンスパートナーの多様な製品群により様々な機能を提供できる。例えばテロップもすでに対応しており、従来通りの操作性を求めるユーザーにはハードウェアパネルも提供することができる。アライアンスパートナーは年々増加しており、提供できる機能も増加している。
また、単に製品やサービスを提供するだけのプラットフォームではなく、〝管理〟できることがAMPPの大きな強みだ。どの番組で、どの製品・機能を、どの程度使ったのかを管理できるので、それをベースにコストも把握することができる。
今年の大きなトピックはEDIUSとAMPPの連携だ。これまでも部分的には連携していたが、本格的な連携を実現した。本社と神戸の開発部隊の連携により実現できたという。AMPPに素材を登録し、Framelight Xで素材の管理やプレビューを行い、EDIUSで仕上げることも可能になっている。すでに、この使い方は国際的な大規模スポーツイベントの配信に用いられたという。
AMPPが登場してすでに4年目となるが、海外では採用を増加させているが、日本ではこれまで実績がなかった。しかし、今年初採用が決定した。ユーザーはスポーツなど生放送での採用を想定しており、従来のハード主体のシステムでは対応できないと考えていたため、AMPPの導入に踏み切ったという。また、AMPPは拡張性にも優れていることから、小規模でスタートし必要に応じてスケールアップできる点も評価されたようだ。さらに、ハードウェアパネルなどを使用して、従来の操作性を損なわずに運用できることから、特別なトレーニングなども必要ないこともポイントだ。加えて、使いやすいようにUIも簡単に作ることもできるなど、ソフトウェアベースならではの特徴を多く備えている。日本でもさらなる採用拡大を図るため、積極展開していく考えだ。
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ノンリニアビデオ編集ソフトウェア「EDIUS 11」は約1年前にリリースされたが、機能は続々と拡充されている。今回紹介された機能のうち、近く搭載されるのがオートカラーコレクションビデオフィルター。表示されているフレームを解析し、自然な色合いに自動で調整することができ、適用後の微調整も可能 (今後のアップデート版で提供)。この他、GPUを活用してH.264/265でコードできるGPUサポートや新ボーナスコンテンツプラグインパック、SNS用の目的別エクスポートプリセット、OFXプラグインネイティブサポートなどが加わっている。さらに、エクスポートやレンダリングを開始しても編集を継続できるバックグラウンドレンダリングや、ターゲットを中央に固定させる、もしくはオブジェクトをターゲットに追従させることが可能なモーショントラッキングも追加された。
また、「Mync」のE DIUSへの統合も大きなポイントだ。メディアファイル管理ツールであるMyncはEDIUSへの統合とともに大幅にアップデートされた。簡易編集機能としてストリーム編集が可能になる (技術プレビュー)。
さらに、アセット管理項目も追加された。事前にアセットへメタデータを登録・付与することで、スムーズな検索や映像編集が可能になる。具体的にはIn/Out点、マーカー、マーカーコメント、デュレーションマーカー、クリップカラーなど。豊富かつ便利な機能を搭載していることから単体としても使用したいという声が多数あることから、単体販売も計画しているという。
EDIUSではターンキーとしてハードウェアも販売しており、「REXCEEDシリーズ」のデストップワークステーション「W4100/W1100」、ラップトップワークステーション「W15LT G3」を紹介。さらに、参考展示として「HDWS 4K4シリーズ」の後継機である「HDWS X1/HDWS X1 Elite」を紹介。
加えて、EDIUSのAMPP対応も進めており、近く発表される見込みだ。前述のMyncもAMPP対応となるため、より効率的にメディアの管理を行うことができる。
この他、ハードウェア関連では新製品の「T3シリーズ」を展示した。昨年のInterBEEでは参考展示だったが、今年9月に日本でも発売を開始している。
T3シリーズは、従来の「T2 4Kシリーズ」の上位モデルとして開発され、従来モデルに比べて20%の小型化を実現しながら、大幅な性能向上を実現し、12G―SDI、M.2 NVMe SSDストレージ、2・5GbEネットワーク、USB 3・2などの充実したインターフェースを搭載している。また、4Kでは最大2チャンネル、HDでは最大3チャンネルの収録・再生が可能で、Grass Valley HQX、Apple ProRes、Avid DNxHR/HD、Sony XAVC/XDCAMを含む多様な業界標準フォーマットに対応している。
最後に竹内氏は「AMPPは、想定以上の引き合いを受けており、クラウドベースのトータルシステムを考えておられるお客様が多いようです。一方で、クラウドとオンプレによるハイブリッドシステムのニーズもあります。AMPPはあらゆるニーズに柔軟に対応できます。是非、グラスバレーに何でもご相談下さい」と述べた。
(全文は12月2日号3面に掲載)
トップ画像はグラスバレー代表取締役の竹内克志氏㊧と営業統括の三輪信昭氏
この記事を書いた記者
- 放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。
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