ATENジャパン 鄧社長インタビュー 多様な分野や業種への展開で幅広い導入進む
ATEN は1979年の設立以来、接続・共有技術におけるコネクティビティ及び管理ソリューションを専門に製品開発・製造・販売を行ってきた。ATENの日本法人である「ATENジャパン」は2004年に設立された。グループ内で初めてショールームを開設した他、日本ユーザーの多様で厳しい要求を本社フィードバックして新たな製品や技術の開発に貢献するなど、重要な役割を担っている。
鄧 鴻群氏が社長に就任以来毎年二桁成長を続けてきたが、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた。しかし、様々な施策を実行し、2022年には再び成長軌道に回復している。鄧社長に、2024年を振り返ってもらうとともに、現在の課題、今年期待する製品などについて聞いた。
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――2024年を振り返っていただき、全体としてはどのような1年でしたか
鄧社長 現在の米中関係による様々な規制により、特に半導体業界は影響を受けています。それに伴い、半導体製造装置メーカー向けの事業環境が厳しく、わずかなところで目標が達成できませんでした。
またコロナ禍後に勤務形態が変化し、在宅勤務も定着しつつありますが、逆に以前のように会社勤務に戻る企業も出てきています。このためリモートワーク需要が減少し、関連製品の販売計画が達成できませんでした。
全体としては計画の9割程度の達成度になっています。もう少し落ち込み幅は大きくなると想定していましたが、監視や遠隔操作の機器として幅広く導入されたことや、これまで採用されていなかった業種・分野でも弊社製品の便利さが認知され、採用されるケースが徐々に増えました。これにより、ある程度の落ち込みをカバーすることができました。
――業種別のビジネスの状況はいかがでしょうか
鄧社長 IT業界は伸びています。一方、映像業界は〝例年並み〟ですね。ただし電源ソリューションは伸びています。特にPDUリブーターは二桁成長を続けています。映像系の製品では、汎用性の高い、かつ機能性の高い分野を狙っていきたいと思います。例えば、デジタルサイネージ関連や文教関連などです。同時に中央監視も狙っていきます。大規模かつ複雑な映像監視システムを〝売り〟に、技術力も含めたシステムとして採用いただくことを目指します。
半導体関連については、先ほどお話したように様々な規制等の影響もあり、設備投資が一段落しています。今年以降、徐々に回復していくと思いますが、ただ回復を待つのではなく、できることをやっていきます。
――製造業向けの状況はいかがでしょうか
鄧社長 製造業向けにも引き続き注力しています。東京地域での製造業は限られていますので、地方の製造業のお客様とビジネスを拡大したく、まず各地域に営業拠点を設けることにしました。大阪以外に名古屋、福岡、仙台、広島に営業所を設置しました。これが奏功し、地方でのビジネスは拡大しています。製品によっては計画を大きく超える成長を達成したものもあります。これが、先ほど申した全体の落ち込みをカバーできた要因の一つです。
――積極的に展示会に参加していますが、今年もやはり多数の出展をしますか
鄧社長 社員数にも限りがあるので、現在の二十数回の展示会出展をこれ以上増やすのは厳しいです。このため、お客様のもとに直接我々が訪問して、新製品などの説明を行う機会を増やしています。また、営業による内覧会や説明会なども多数実施し、ATEN製品に直接触れてもらう機会も増やしています。さらに、パートナー向けの勉強会を増やし、代理店の皆様により弊社の製品を詳しく知っていただくことで販売の強化につなげたいと思います。
――ソリューションビジネスにも注力されてきました
鄧社長 ATEN製品は多種多様で、これらの製品群を組み合わせることにより、様々なニーズに対応できます。弊社自らがソリューション提案し、ワンストップで完結することができます。さらに必要に応じて柔軟にカスタマイズも対応できます。2年前からソリューション営業部を設置し、強化してきました。
(全文は1月10日号3面に掲載)
この記事を書いた記者
- 放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。
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