パナソニック コネクト お客様の業務効率化&コンテンツの価値向上と地域密着化へ貢献

 パナソニック コネクトでは、「とる」「つくる」「うつす」というワークフローを「つなぐ」ことでコンテンツに新たな付加価値を与え、ケーブルテレビ事業者の事業推進や地域共創、地域DXの推進の実現に向け強力なサポートを行っている。
 パナソニック コネクト 現場ソリューションカンパニー 映像メディアサービス本部 マネージングダイレクターの梶井孝洋氏に、2024年を振り返ってもらうとともに、2025年の戦略、新製品や新サービスの投入計画、今後の抱負などについて聞いた。

現場サポート&番組レコメンドサービスを投入

 ――2024年を振り返っていただき、どのような年でしたか
 梶井 4Kへのマイグレーションがさらに広がった年でした。大手のケーブルテレビ事業者様はすでにマイグレーションを順調に推進されていますが、中小規模のケーブルテレビ事業者様は予想よりも若干遅れていると感じていました。本格的に対応が始まったのが昨年で、その流れは今年も継続していく見込みです。
 また、ケーブルテレビ業界全体の印象としては、より地域に密着・連携した多チャンネル・コミチャンを展開しているように感じています。
 ――2024年には2つのサービス提供を発表されました
 梶井 2024年10月「STB現場サポートサービス」と「STB番組レコメンドサービス」の2つの新しいサービスを発表しました。いずれも数年前より、ケーブル技術ショーなどで参考出展していましたが、同12月に正式にサービスを開始しました。
 STBのトラブル発生時などにおいて、加入者はケーブルテレビ事業者様のカスタマーサポート部門へ電話で状況を説明しなければならず、症状の伝え方や操作方法が分からないなどで混乱してしまうケースや、電話での原因特定や症状改善が難しい場合は技術者が加入者宅の現場へ赴いてSTBの確認や操作を実施するケースが発生し、スムーズに適切な対応ができないことが課題となっています。実際には、電源入れ直しや入力切り替えなど軽微な対応で済む場合も少なくありません。
 STB現場サポートサービスは、オペレーターが遠隔で直接STBの状態を確認することができるため、加入者の説明およびオペレーターの聞き取り時間を短縮し、迅速かつ正確な原因の特定を実現できます。また、技術者が現場に赴くことなく、オペレーターがその場でSTBを遠隔操作することで、加入者の誤操作の心配や、技術者の到着を待つことなく、スピーディーに解決できます。さらに、加入者のSTBの症状を入力すると、STBの状態と合わせて分析し、パナソニック コネクト独自のノウハウをもとにした最適な解決策を提案する機能も搭載しています。これにより、オペレーターのスキルに依存しない柔軟なサポート運用を可能とします。加えて、解決策の提案内容を随時更新し、最新の解決策を提案します。すでに、複数のケーブルテレビ事業者様が採用に向けて試験導入されており、「素早く対応できるようになった」などの評価をいただいております。
 STB現場サポートサービスが業務効率化を図るサービスに対し、STB番組レコメンドサービスはコンテンツの価値向上を図るサービスです。映像配信サービスが急速に普及する中、視聴者は自分が視聴していた番組と関連する番組から次の視聴候補番組を探すことが一般化しており、ケーブルテレビの多チャンネル放送においても同様のニーズが高まっています。
 STB番組レコメンドサービスは、趣味・娯楽・ニュースなどの視聴者の嗜好をSTBの視聴履歴や検索履歴から分析し、独自に特徴付け、分類した多彩な番組データから視聴者の嗜好に合わせた番組をレコメンドするサービスで、満足度の高い視聴体験を提供します。
 また、好きな番組を「お気に入り」に登録しておくことで、簡単に好きな番組にアクセスできます。さらに、「お気に入り」登録した番組の再放送やシリーズ放送も簡単に探せます。番組の一覧は見やすいサムネイル形式で表示され、見たい番組や番組の概要を直感的に選択することができます。同じ時間帯にいつも見るチャンネルがある場合は、そのチャンネルがサムネイルの先頭に表示され、すぐに視聴を開始できます。
 ただし、あまりにも絞り込みすぎると特定の番組系に偏りすぎるという課題も出てきます。このため、ケーブルテレビ事業者様のおすすめ番組も含めて、若干好みからはずれた番組も意図的にピックアップしレコメンドしています。このような〝味付け〟をするため、分析するエンジンを3回チューニングしました。今後も継続して見直しを行っていきます。また、1月末から加入者宅で実際に使用していただく試験導入を実施する予定です。
 ――サービスとしては完成したということでしょうか
 梶井 サービスの改善に終わりはないと思っています。どこまでご要望に対応できるかを検討し続ける必要があるため、サービスをリリースした時点がゴールではありません。毎年、改善を行っていきます。これにより、我々のSTBの採用を広げるとともに、ケーブルテレビ事業者様の加入者の解約防止にも貢献していきたいと考えています。
 ――4K対応STBの4機種がリリースされて数年が経ちましたが、それぞれの状況はいかがですか
 梶井 2024年はSTBの販売は好調で、特にエントリーモデルが大きく成長しました。エントリーモデルは販売当初より好評でしたが、特に2024年は対前年比約1・5倍となっています。DVRモデルは横ばいですが、2K対応DVRモデルからの買い替えなど根強い需要があります。また、ベーシックモデルについても微増しています。
 2023年までは凡そ半数がベーシックモデルで、残りがDVRモデルとエントリーモデルでした。2024年はエントリーモデルが大きく成長したため、全体の60%超がエントリーモデルとなっています。
 毎年多少のアップダウンはありますが、ここ数年はSTBの買い替えサイクル期であり、台数ベースでは好調に推移しています。買い替え需要は4Kマイグレーションの進展もあり、しばらくは続くと見込んでいます。
 ――新モデルの計画はありますか
 梶井 検討はしていますが、今は昨年もお話ししましたように、STBのライフサイクルを延長する方向です。STBはハードウェア的には成熟しつつあるため、むしろソフトウェアが重要になっていると考えています。現行のハードウェアを活用し、様々な機能やサービスを追加することで付加価値を高める方が、お客様のニーズに合致するのではないかと思います。
 近年非常にニーズが高いOTTアプリを、ソフトウェアのアップデートで増やしていく取り組みをこれまでも行っており、2024年も2つのOTTを追加しました。OTTについては今後もご要望をお聞きして検討していきます。
(全文は1月31日号4面に掲載)

STB番組レコメンドサービス

STB番組レコメンドサービス

STB現場サポートサービス

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この記事を書いた記者

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成澤誠
放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。