ブラックマジックデザイン、ニュージーランドの新作映画に採用

 ブラックマジックデザイン、New Zealand Sons Filmの新作「Zombie Repellent」の制作に、DaVinci Resolve Studio、Blackmagic Cloud、Blackmagic Pocket Cinema Camera 6K G2デジタルシネマカメラが使用されたと発表した。同作のポストプロダクションの過程では、「フェイス修正」や「UltraNRノイズ除去」などの多数のDaVinci Neural EngineのAIツールが使用された。
 監督と撮影監督を兼任したテイラー・キング氏は、Pocket Cinema Camera 6K G2を用いてアナモルフィックで3週間かけて同作を撮影した。また、Pocket Cinema Camera 6K G2には、Laowa 35mm Nanomorphアナモルフィック1・5xレンズが取り付けられた。
 プリプロダクションにおける現場でのLUTの作成を含め、制作全体を通してDaVinci Resolve Studioが使用された。
 ショーン・キング氏は、DaVinci Resolve Studioを用いて同作のトーンを決めた方法について以下のように説明する。「新作を制作するたびに、様々なルックを試したいと思っています。本作は、典型的なロマンチックコメディのように始まりますが、10分が経過する頃には、劇的に異なる方向にこの二人の物語は展開します。その部分で、Resolveの新しいAI機能である『フィルムルック・クリエイター』を使用して、ロマンティックコメディから、作品の残りの部分で使用される、より彩度が低く、粒子の粗いルックに変えました。『オズの魔法使い』が白黒からカラーに変わるほど劇的なものではありませんが、そのワンショットで、映画のトーンが変わっていることは間違いなく感じられます」。
 同作の制作において欠かせなかったDaVinci Resolve Studioのツールは、DaVinci Neural EngineのAIによる「フェイス修正」フィルター、「UltraNRノイズ除去」、「フィルムルック・クリエイター」、「音声分離」などだったという。
 「DaVinci ResolveのAIツールは、正にAIがあるべき姿です。創造性を発揮するための時間がより多く得られることを目的に作られており、創造の過程自体を乗っ取ったり、もっと悪い場合には、私たちが一生懸命作成したものを盗んだりするためのものではありません。本作は夜間を舞台にしており、カメラが対応している限界値の低照明で撮影したので、『UltraNR』には本当に助けられています。『フェイス修正』では、俳優の顔の気になる箇所やメイクの異なる箇所を修正できました。面白いことに、ゾンビには逆の方法で使用し、より恐ろしいルックにしました。各ショットで使用したNeural Engineの機能は『音声分離』です。非常に低い設定でも、アーチファクトが生じることなく雑音を十分に除去でき、より高い設定では、数年前では諦めるしかなかったオーディオを使用できるようにします」

この記事を書いた記者

アバター
成澤誠
放送技術を中心に、ICTなども担当。以前は半導体系記者。なんちゃってキャンプが趣味で、競馬はたしなみ程度。