エーディテクノ、「Danteの進化系!Dante AV Ultraが実現する高信頼性AVネットワーク」開催

 エーディテクノはこのほど、「Danteの進化系!Dante AV Ultraが実現する高信頼性AVネットワーク」セミナーを開催した。
 まず、Dante AV規格について、Danteの開発元であるAudinateの高見沢雄一郎氏が解説した。Danteはオーディオネットワークではデファクトになっている技術である。そのDanteが映像伝送の分野に進出してきた。それがDante AVとなる。Dante AVが3つの規格からなり、Dante AV―HとDante AV―A、Dante AV Ultraがある。Dante AV―HはH.264/AVCおよびH.265/HEVCベースのソリューションで、低コストだが、4K60p 4:2:0が限界。Dante AV―Aは、ASPEED社のコーデックを用いており、4K60p 4:4:4の高画質とロスレスを実現している。
 Dante AV UltraコーデックからネットワークまでFPGAベースのターンキーソリューションで、業界をリードするDanteプラットフォームにネットワーク動画とオーディオを追加することができる。4K60p 4:4:4までの解像度をサポートする高品質で視覚的なロスレスを実現する。レイテンシを重視しており、遅延は1フレーム未満。また、オーディオもビデオもクロックを共通化している。Dnateオーディオと同様にPTPで同期しているため、高精度に同期できる。
 Dante AV Ultraは、Dnateオーディオの良かった点はそのままに、HDMI/SDIをIPに置き換えできるぐらいの画質や遅延などを実現できる。この利点を生かした高画質で高信頼性のAV over IPシステムを構築できるとした。
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「DAV―01シリーズ」

「DAV―01シリーズ」

 続いてエーディテクノの安井慎一氏がDante AV Ultraエンコーダ/デコーダ 「DAV―01シリーズ」の紹介を行った。
 DAV―01シリーズは、2・0型ディスプレイを正面に設置しているのが最大の特徴で、主に3つの機能がある。まずプレビューで、映像のプレビューを行うことができる。また、入ってきている映像や出力している映像のステイタスも見ることができる。
 8chのDanteオーディオに対応しているため、8chのオーディオメーターによりモニタリングできる。また、ヘッドフォン端子も装備しており、音でモニタリングすることができる。
 最後は設定で、オーディオの設定を行うことができる。なお、アップデートにより、設定可能項目をさらに追加する予定という。
 同社では映像分配器も手掛けており、その技術がDAV―01シリーズには装備されている。さらに、自動ダウンスケーリング機能も搭載しており、出力先のディスプレイの最適な解像度を判断して、出力することができる。このため、4KとフルHDのパネルが混在していても、問題なく表示することができる。
 Dante Redundancyは非対応だが、独自の機能で冗長化を実現している。2つのEthernetポートをネットワークスイッチにつなぎ、1本を本線、もう1本を予備とする。万が一、本線が破損したとすると、ネットワークのトラフィックが失われたことを自動的に検知し、予備に切り替える。ただし、切り替えはシームレスではないという。ファストスイッチ機能は、2つ以上のソース間の切り替えをシームレスにする機能で、送受信間で最大1フレームの遅延を許容する代わりにシームレス化を図るもの。
DAV―02

DAV―02

 また、最後にDante AV Ultraに関する今後の展開について述べた。まずDAV―01に続きDAV―02をリリースする。DAV―01の機能やソリューションを維持した上で、2・0型ディスプレイやSDI端子などを削除してコストダウンを図ったモデル。2026年5月に発売予定。送受信機それぞれリリースし、送信機にはHDMI端子の他に、USB Type―C入力も搭載する。
 Dante AV Ultra搭載のSDMモジュールも開発しているという。SDMはIntelが提唱する商業用一体型ディスプレイやIoT機器向け統合インターフェースの規格。各プロジェクタ―メーカーが同規格を採用しており、Dante AV Ultra搭載受信モジュールを装着することで、Dante AV Ultraネットワークを構築することができる。
 この他、Dante AV Ultra搭載コントロールボックスも企画中という。
会場ではファストスイッチ機能のデモなどが行われていた。2つモニタを並べて、片方は直接映像を流し、片方はエンコーダ→ネットワークスイッチ→デコーダを介して表示されている。2つのモニタには1~60の数字が繰り返し表示されるが、ほとんど差(遅延)は感じられなかった。

右が直接映像を表示、左はエンコーダ→ネットワークスイッチ→デコーダを介して表示

右が直接映像を表示、左はエンコーダ→ネットワークスイッチ→デコーダを介して表示