カメラトラッキングシステム「OCELLUS」発売

 ソニーは、In―Camera VFXなどのバーチャルプロダクションやAR(Augmented Reality:拡張現実)などでの制作を効率化する、同社初のカメラトラッキングシステム「OCELLUS」(オセラス)を発売する。カメラトラッキングシステムは撮影時のカメラの位置や向き、情報などを取得する機器で、バーチャルプロダクションなどの空間コンテンツ制作に必要不可欠。発売時期は2025年秋。価格はオープンだが、市場推定価格(税込)は560万円。
 「OCELLUS」の主な特徴は以下の通り。

 外形寸法は約86mm×60mm×43mm(幅×高さ×奥行き)、重量は約250gで、小型軽量。また、NATOレール方式の取り付け部品(同梱)を使用することで容易に設置および位置の調整が可能。センサーユニットは、ロック機構付きUSB Type―Cケーブル1本でプロセッシングボックスと接続し、プロセッシングボックスから電源を供給する。
 センサーユニット内部には、5つのソニー製イメージセンサーを搭載している。ユーザーが周囲の環境に合わせて任意の4つを選択して同時に使用することで、複数のイメージセンサーによる安定したマーカーレストラッキングが屋内外で可能。使用している4つのイメージセンサーのうち1つでも有効な特徴点を捉えているイメージセンサーがあれば、トラッキングデータの取得が可能で、高い遮蔽耐性を備えている。
 また、5つのイメージセンサーそれぞれの両側にIR(赤外線) LEDを搭載しており、暗所での運用をサポート。音楽ライブ会場など照明が頻繁に切り替わる環境では、可視光カットユニット(同梱)を装着して赤外線以外の可視光を遮断し、安定したトラッキングを行うことができる。
 ▽各種入出力端子を備えメタデータの記録にも対応するプロセッシングボックス
 プロセッシングボックスは、センサーユニットで取得した情報からトラッキングデータを計算する。トラッキングデータとカメラやレンズのメタデータは、Ethernetケーブルを介して、free―dフォーマットでUnreal EngineなどのCGレンダリングソフトへリアルタイムに送信可能。

「VENICE 2」「HDC―5500V」に装着した「OCELLUS」

「VENICE 2」「HDC―5500V」に装着した「OCELLUS」

 プロセッシングボックスには、Genlock入力やタイムコード入力、SDI入出力端子、レンズエンコーダーとの接続端子などを搭載している。
 ソニー製のカメラと組み合わせて使用する場合は、カメラのSDI出力のみで、同期信号やタイムコード、ファイル名、RECトリガの取得が可能。さらに、ソニー製カメラと情報取得に対応するレンズを組み合わせることで、カメラのSDI出力を通じたレンズメタデータの取得が可能。トラッキングデータやカメラやレンズのメタデータは、映像ファイルと同期したFBXファイルとしてSDXCメモリーカードUHS―Ⅱ/UHS―Iに記録できる。
 また、側面には有機ELディスプレイを備えており、IPアドレスやトラッキング情報、レンズデータ等の状態を確認することができる。
 ▽使用可能なカメラやレンズを広げるレンズエンコーダー
 レンズエンコーダーは、レンズのフォーカスやズーム、アイリスの精密な回転角度や位置を物理的に検出する。検出したデータは、プロセッシングボックスにLEMO 7ピンケーブルを介して伝送する。これによって、カメラのSDI出力によるレンズのメタデータ取得ができない場合でも、レンズのメタデータ取得ができる。装着するレンズに合わせたギアを同梱の5種類のギアから選択し、レンズエンコーダーに装着することができる。

レンズエンコーダー

レンズエンコーダー