2024年9月2日(7715号)
通信アプリ「テレグラム」の創業者で最高経営責任者(CEO)のパヴェル・ドゥロフ氏が8月24日、フランス・パリ北部の空港で現地警察に逮捕された。同アプリを通じた犯罪利用に対して、必要な監視を怠るといった抑止措置を取らなかったことを重く見たとされる▼テレグラムは、暗号化されたインスタントメッセージングアプリで、ユーザーがテキストメッセージや写真、動画、音声ファイルなどを送受信できる。大きな特徴の一つとして、メッセージの暗号化やサーバー上でのデータの非保存、共有したメッセージの自動消去といった機能を持つ「シークレットチャット機能」があり、その匿名性や機密性の高さから、サイバー犯罪者の温床とも呼ばれている。特にロシアやイラン、中東など国外で人気が高いとされるが、日本でも特殊詐欺や「闇バイト」といった犯罪にも利用されている。「ルフィ」で話題となった一連の強盗事件でも連絡手段として話題となった▼ドゥロフ氏の逮捕を受け、テレグラム側は「デジタルサービス法を含むEUの法律を遵守している。不正利用の責任をプラットフォームやオーナーに負わせるのは不合理だ」等といった内容の声明を出している▼逮捕を巡っては、その罪状を含めて様々な憶測が飛び交っているが、ネットの匿名性にどう影響していくか、経緯を見守りたい。(K)