スカパーJSAT、通信衛星「JSAT―32」の調達契約を締結

 スカパーJSAT(東京都港区、米倉英一代表取締役執行役員社長)と仏タレスアレニアスペース社は3月10日、通信衛星「JSAT―32」の調達契約を締結した。
 「JSAT―32」は、日本エリア向け通信・配信サービスを提供する、スカパーJSATの既存衛星の後継機として調達される。Kuバンド・Kaバンドの周波数帯を用いて、日本および周辺海域をカバーし、新たに搭載するスポットビームにより、拡大する移動体向け通信需要に対応する。
 タレスアレニアスペースは、このプロジェクトの主契約企業として、衛星の設計・製造・試験・射場への納入を担当し、関連する地上設備も提供する。「JSAT―32」は、タレスアレニアスペースとして実績のある標準衛星プラットフォーム「Spacebus 4000 B2」を使用し、打ち上げ時の重量は約3・7トンとなる予定。このプラットフォームは、堅牢性、信頼性に加え、迅速な市場投入を実現することで高く評価されている。「JSAT―32」の打ち上げは2027年の予定で、軌道上での設計寿命は15年以上を見込んでいる。
  米倉英一スカパーJSAT代表取締役執行役員社長のコメントは次の通り。
 「『JSAT―32』の調達は、当社の長期的な衛星フリート計画に沿った戦略的投資の一環です。新たに搭載されるKaバンドペイロード(衛星に搭載された通信機器)により、安全保障分野を含む拡大するモビリティ需要への対応力を一層強化します。現在進行中の『JSAT―31』の調達とあわせて、タレスアレニアスペースの実績ある技術と知見を最大限に活用できることを期待しています」。
Thales社とLeonardo社の合弁会社であるタレスアレニアスペースは、40年以上の経験と独自のスキル、専門知識などの組み合わせを活かし、通信・ナビゲーション・地球観測・環境管理・探査・科学・軌道インフラに対し、費用対効率の高いソリューションを提供。宇宙を新たな機会ととらえ、地球上の持続可能な生活を築くための活動に貢献している。タレスアレニアスペースの衛星システムは、政府や民間企業に幅広く利用されており、いつでもどこでもつながる通信・位置情報の提供をはじめ、資源管理強化のための地球観測や、太陽系およびその先の宇宙探査のためにも活用されている。

写真は 通信衛星「JSAT―32」のイメージ画像

3月19日付け4面に掲載

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。