CNCIなど、AIアナウンサー×記事で実証実験に着手

 コミュニティネットワークセンター(CNCI、愛知県名古屋市東区、原年幸社⾧)とスターキャット(愛知県名古屋市中川区、松下寿昭社⾧)は、中日新聞社(愛知県名古屋市中区、大島宇一郎社⾧)と連携し、AIアナウンサーによる地域情報の放送・配信の実証実験を3月20日、22日、23日の3日間、スターキャットチャンネル12chの「Star Catウィークリー」で実施した(尺は各3分程度)。

 本実証実験は、中日新聞社が運営する地域情報アプリ「Lorcle」(ロークル)の記事を、CNCIがAIアナウンサーを含む番組として制作し、スターキャットで放送した。また、配信はLorcle内と、中日新聞社とスターキャットの公式ユーチューブチャンネルで行われた。なお、本実証実験は地域情報発信の充実と番組コンテンツの制作支援事業化に向けた実施されたもので、今後は運営上の課題や視聴者からの反響などを元に、システム化の検討を進めていくとしている。ケーブルテレビ事業者と新聞社が連携した同様の取り組みは全国的に例がなく、実験結果は身近な情報を多様な見せ方で届ける手法に生かしていくとしている。また一般的な番組とは異なり、AIアナウンサーを活用することで、新しいアプローチで情報を提供し、地域の方々への関心を高めることを目指していくという。

 AIアナウンサーとは、人工知能(AI)技術を用いて人間のアナウンサーの役割を果たすシステム。ニュース原稿などのテキストを解析し、人間の声に近い音声を生成する。今回登場したAIアナウンサーは声だけではなく、デジタルヒューマンやアバターと言われる「リアルな人」が身振りを加えて報知した。音声はAI特有の単調さを抑え、リップシンクを調整し、滑らかで自然な読み上げに近づけた。なお、今回のAIアナウンサーは、いわゆる「生成AI」ではなく、機械自身で学習してオリジナルのまったく新しいコンテンツを生み出すものではないという。
 視聴者への提供メリットとしては、「ケーブルテレビ局で補えなかった地域コンテンツが一層充実する」「中日新聞社の信頼性の高い記事をAIアナウンサーが正確に伝える」「語り手が記事を表現することで視覚的なバリエーションを楽しめる」などがあり、今後の展望として、CNCI、スターキャット、中日新聞社は「地域メディアとしての強みを活かし、AIアナウンサーの可能性を最大限に引き出して、より多くの視聴者に質の高い情報を提供する新しいサービスを目指していきます。さらに、新しいコンテンツの価値を創造し、視聴者により良い情報体験を提供するために、引き続き努力していきます。今後とも当社グループは、地域の皆様・お客様に徹底的に寄り添い、地域の課題一つひとつに真摯に取り組み、地域のゆたかな未来づくりに貢献し続けるよう努めてまいります」とコメントしている。

3月31日付け4面に掲載

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。