
日本ケーブルラボが記者説明会
一般社団法人日本ケーブルラボ(東京都中央区、田﨑健治理事長)は4月23日、ラボ内で定例の記者説明会を開催し宇佐見正士専務理事、坂中靖志理事が2025年度事業計画などで会見した。
日本ケーブルラボの宇佐見専務理事はまずまず事業計画について話した。
「2025年度ラボ活動実施体制について。委員会は未来創造委員会、技術委員会、認定委員会、JQE委員会の4つで構成されている。そのひとつ『未来創造委員会』はこれまでの名称が『事業企画委員会』だった。どちらかというとビジネス的な議論を行っていたところの名前を変えて未来創造委員会とした。中身は未来に向けたビジネスの〝種〟を議論するということで、元の名前では何かしっかりしたビジネスモデルを提言すると言われ続けて、なかなかできない部分もあるので、ラボがあくまでも技術の立場からその〝種〟を作る、もう少し自由闊達に成果を出していこうという委員会だ」と述べた。
続いてラボが目指す『エンドサービス×端末×伝送=ケーブルテレビの再発明』について説明した。
「放送を有線で送る、STBを介して行う。これまでのラボの仕事のメインはSTB(セットトップボックス)の標準化が軸足だったが、コロナ禍も経てインターネットブロードバンドサービスを提供するのがケーブルテレビ局のビジネスの柱になっている。場合によってはケーブルテレビ局ではもう、ブロードバンド側の売り上げが放送を上回っているという状況である。ラボのテーマもそちらにシフトしており、ブロードバンド側からもテレビに入って、それから放送側もテレビに入る。見ているお客様からするとこの2つの差は特に意識してはいない。
ネットフリックスで見るのもNHKの番組を見るのも少しリモコンで変えるだけで、ただ、ケーブルテレビ的には、2つのサービスをひとつのデバイスで見ている状況が出てきた。加えて、ケーブルテレビは地域のデジタルトランスフォーメーション(DX)の仕事も行う。それからBtoCサービスだったのがBtoBサービスも出てきた。で特に低軌道衛星「スターリンク」とかBWAといった話である。サービスで見るとこれだけ多様化したと。これはサービスの観点であるが、技術として見ると、端末がキーポイントになる。これは、STBというお客様のテレビの端末、ケーブルテレビ事業者が置く端末に加えて、お客様が持っているスマートフォン、いろいろなガジェットも含めて、Wi―Fiインフラは局が置く、アクセスポイントの整備も局がする。この辺で端末というのがたいへんポイントになっていて、それから、伝送サービスでケーブルのFTTHはすでにほとんど事業者が導入し、ここでは放送とデータと両方入っている〝二本差し〟で、これはすごい強みである。それ以外にも、衛星あるいはスマートフォンなどを活用して、いろいろなサービスが展開されている。結局、このケーブルテレビ局のサービスっていうのは掛け算をして、いろいろなことができるようになった。この背景に、急激にいろいろなところで出てくるAIで世の中が変わってきている。これをどうラボで取り扱っていくのかこれも今年度のテーマと思っている。ケーブルテレビ局のサービスはまだまだ拡大する。ケーブル局から伝送サービスレイヤへ、そして端末レイヤへ、エンドサービスレイヤへ。そしてそれをお客様が享受する。それぞれのエンドサービスレイヤ、端末レイヤ、伝送サービスレイヤが掛け算されること、それが『エンドサービス×端末×伝送=ケーブルテレビの再発明』の意味するところだ。ケーブル局の強みはそれぞれのレイヤの中心にあるのが放送、テレビ・STB、放送サービス(衛星・地上・自主・多ch)そことの連携で何を次のサービスに加えていくのが効率的なのかあるいは横展開できるのかを見極めて、最適なことから行うことを、ラボでは『ケーブルテレビの再発明』といっている。何も新しいものが発明ではなくて、組み合わせて今までにない価値を、他の業界よりも先んじて、やることがケーブルテレビの再発明と位置付けている」と述べた。
ケーブルテレビの再発明を目指して、日本ケーブルラボではAI&オールIP、有線、無線、サービス品質、新サービスを5つの重点分野として定義し、ケーブル事業に必要な様々な
技術に関する調査研究を進めている―とした。すべてのケーブルテレビの再発明の要素を技術におとしていくのが考えだ。
「新しいこと、AIとか新しいもの入っているが、AIだけを研究するのがラボではない。そういう新しいことを取り組みながらも、これまでやってきたことをベースに、事業者もそのケーブルテレビの再発明をするために、通信と放送サービスだけではなく、いろんなことをやっていこうというニーズが増えてくる。これまでは通信と放送に特化していたので、それに関する標準化を中心に活動していたが、これからはニーズの拡大、ケーブルテレビの再発明は何かというのに応えるために、ラボも領域を広げたいと考えている。ラボが広げたシンクタンク的ないろいろな情報調査をして、それを研究して整理してそれを発信していく。委員会を通しての発信ではなくて、ラボが直接事業者に発信していく。そのひとつがラボシンクタンクから
事業者への情報発信の場でラボ内に設置されている『近未来ルーム』。そこで70社ぐらいの事業者が昨年来ていろいろな新しいサービスなどで議論をしている。もうひとつは、事業者からの個別依頼への対応。しっかり受けて対応しようと。昨年までを少し変えて広げていこうと、決して薄くするのではなくて、中心のコアのことは少し数を減らして、幅を広げていこうと、考えだ」。
全文は4月28日付け5面に掲載
写真は宇佐見専務理事
この記事を書いた記者
- 元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。
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