2024年8月28日(7713号)

早稲田大学理工学術院の森本雄矢准教授と東京大学大学院情報理工学系研究科の竹内昌治教授らによる研究グループは、培養骨格筋組織の収縮運動によって「柔軟な足」で屈曲して動く二足歩行バイオハイブリッドロボットを世界で初めて製作したと発表した。一方を駆動足、もう一方を軸足に用いることで、ロボットボディの内側に旋回中心を設けることが可能になり、ヒトの二足歩行運動で観察される細やかな旋回運動を再現することに成功した▼研究の成果は、バイオハイブリッドロボットの開発に加え、ヒトの運動メカニズムの理解につながる。薬剤添加時の運動改善効果解析、疾患時の病態解析など様々な状態での運動モデルとして、薬学や医学分野での適用が考えられるという▼近年、生体材料と人工物を組み合わせたバイオハイブリッドロボットが注目を集めている。これまで、これらのロボットでは前に進みながら旋回する大回りの旋回動作である、匍匐(ほふく)移動や魚類のようなヒレによる泳動しか行えていなかった▼二足歩行については、ソニーとホンダが2000年11月に相次いで二足歩行の人間型ロボットを披露した。ロボット博覧会である「ROBODEX 2000」で取材したが、それから24年。人間の二足歩行ロボットの実現はほんとうに難解な技術だが、今回の開発はかなりゴールに近づいたのではないか。(T)

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。