2025年3月7日(7782号)

 デンソーテン(兵庫県神戸市)は、カメラで撮影した顔画像からヒヤリハットや居眠りの予兆といった人の内面を推定するAI技術を開発したと発表した。まず、脳波や心拍などの生体情報から分かる〝ヒヤリとする、ハッとする〟や〝頭がぼんやりする〟といった人の内面の状態と、その時の顔画像から眉・目・鼻・口といった顔のパーツの位置や形をあらわす特徴量との関係をAIモデルとして生成。次に、カメラで取得した顔画像から特徴量を抽出しこのAIモデルと照合することで、人の内面推定が可能となる。今後、この技術を生かして安心・安全なモビリティ社会に貢献する▼同社はこれまで、脳波センサーや心拍センサーを用いて、脳や心臓の働きと感情との関係による医学的アプローチ(身体の働き)に基づいた独自の感情モデルを構築し、感情推定技術を開発してきた。車載化を想定した場合、接触型のセンサーでは導入のハードルが高くなるため、本開発の取り組みをスタートした▼神戸大学大学院医学研究科(精神医学)の曽良教授は「人の内面を推定するにあたり、生体情報に基づいて推定することは重要です。人それぞれの内面を理解することで人に寄り添った快適で充実した生活が可能になることを期待しています」とコメントしている▼職場の同僚などが、顔色が悪いと心配してくれる光景はよく見かけるが、将来はAIが顔色だけでなく人の内面の状態まで注意してくれる時代になるかもしれない。(T)

この記事を書いた記者

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田畑広実
元「日本工業新聞」産業部記者。主な担当は情報通信、ケーブルテレビ。鉄道オタク。長野県上田市出身。