2025年2月3日(7769号)
引退を表明した元タレントの中居正広氏の女性トラブルに端を発したフジテレビの記者会見。400人以上のメディア関係者が詰めかけ、終了まで約10時間超と異例続きの会見となった。調査体制や経営陣の退陣よりも話題となったのが、フリージャーナリストをはじめとしたメディア側の質の低さだったことは報道に携わる立場として痛恨の極みだ▼自身も過去には数多くの会見に立ち会い、多くの記者を見てきた。都合の悪い事実をごまかす相手から真実を引き出す鋭い質問を浴びせる記者もいれば、長々と自分の意見を「演説」するのに終始し、肝心の質問のありかをどこかに見失ってしまったかのような記者もいる。求める情報を引き出すための適切な質問は簡単なようで難しく、聞き手側のセンスが問われる。会見に限った話でもなく、もし傍聴する機会があれば、地方議会の一般質問でも同じ景色を見ることができるかもしれない▼出席を記者クラブ加盟社に絞り、映像配信も制限された前回会見への非難から、フルオープンで出席者を制限せずに開催された27日の会見。ふたを開けてみれば、記者としての本質を欠く承認欲求の塊のような自称ジャーナリストの参加を許し、集団心理もあいまって自己満足にも近い、行き過ぎた正義感を暴走させる場と化したのは一つの失敗事例として今後も語り継がれることだろう。双方の立場から学ぶことは多い。(K)
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- 主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。
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