18日放送 NHKスペシャル「創られた“真実”ディープフェイクの時代」試写会見

 NHKは6日、東京・渋谷の放送センターで18日に総合で放送するNHKスペシャル「創られた“真実”ディープフェイクの時代」の試写会見を開いた。会見にはドラマパートに出演する俳優の青木崇高と入山法子が出席した。

 

 生成AIを活用し、本物そっくりの動画や画像を生み出す「ディープフェイク」。その技術はすでに人間や社会のあり方を大きく変え始めている。映画や広告の現場では、より安く、より効率的な映像制作が可能になっている。亡くなった人をコンピューター上に動画でよみがえらせ〝再会〟できるサービスまで登場している。その一方、フェイクポルノによる被害や、偽動画を使った詐欺事件なども頻発。人を破滅に追いやるケースも後を絶たない。番組制作陣は世界中で実際に起きたディープフェイクが関連した事件とその背景を徹底取材し、日本で起こりうる事態をドラマ化。ドキュメントも交えてディープフェイクの功罪を提示する。

 

 妻を亡くした佐藤晃役を演じる青木は「今回のようにAIと向き合う役柄を、もし10年前にいただいていたら、もっとファンタジックなドラマになっていたと思いますが、AIの活用が身近になった今のタイミングで役を演じたのは、僕にとってもいろいろ考えさせられる、いいきっかけになりました。僕個人としては、いかに世の中で起きている出来事とドラマの内容が地続きであるかという共感性を大事にしながら、撮影に挑んだつもりです。晃がディープフェイクに直面したとき〝どんな心の反応をするのか〟を丁寧に表現しないといけないとも思いました。実際に立ちのぼる感情を大切にしないと、このテーマとは向き合えないんじゃないかと思いながら演じていました」と役を演じるうえでの心境を語り、「ドラマでは、ディープフェイク技術の恐ろしい一面を描いていますが、一方ではすばらしい技術でもあると思います。技術と一緒に人間の心も豊かに発展していけたら嬉しいなと思いつつ、未来を明るく楽しく迎えられるかどうかは我々の心しだいだと実感することができました」とAI技術について、自身の考えを述べた。
    

 
      

 晃の妻・真奈美役を演じた入山は「この番組を見てくださった方お一人お一人が、どんな未来を想像されるかが楽しみです。正解がないからこそ自分で知らなければならないですし、自分から学びにいかないといけない時代になってきていると痛感しているので、そういったことを考えるきっかけにもなる番組だと思います。ドキュメンタリーパートも含め、自分事としてご覧いただければと思います」と見どころをアピールした。
    

 また、制作統括の葛城豪チーフ・プロデューサーは「当初、ディープフェイクは人を騙すもので、実際に被害が出始めていることに警鐘を鳴らしたいと考え、企画が始まりました。しかし、取材を続ける中で、AIで作成したアバターが、まるで生きているように画面上で話をするなど、AI技術の進展を目の当たりにし〝この先ディープフェイクにどのように向き合えばいいのか〟がテーマになっていきました。ディープフェイクの功罪を知った上で、どう向き合うのか、番組を通じて考えていただければと思います」と制作者としての葛藤を明かした。

 

 NHKスペシャル「創られた“真実”ディープフェイクの時代」は総合で18日午後10時から放送される。