NHK 8K上映会開催中 ルーブルの至宝を新たな見方で楽しむ

 NHKは、NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]との共催で8K上映会「8Kだから見えてくる ルーブル美術館 空間を超えた映像アート体験」を今月26日まで東京・西新宿のNTTインターコミュニケーション・センター[ICC]で開催している。 2月13日、報道向けの内覧会が同所で開かれ、主催者と監修者が本コンテンツの意義と見どころなどを紹介した。◇ “芸術の殿堂”といわれるフランス・パリのルーブル美術館は、古代から19世紀半ばまでの人類の遺産を収蔵する世界最大級の美術館で、送所蔵点数は約68万点にものぼる。今回はその中から、「ミロのヴィーナス」「サモトラケのニケ」「モナ・リザ」「ナポレオン1世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠」「宰相ロランの聖母」の5作品を8Kカメラで撮影、その映像を325インチ(横7200㍉×高さ4050㍉)、0・9㍉ピッチの超高精細LED8Kモニターで映し出し、極上の美術体験として提供する。クローズアップ映像であたかも作品の中に迷い込むようなディテールを目の当たりにしたり、普段見ることができないような角度の視点から彫刻を鑑賞するなど、ルーブル美術館に足を運んでも体験できない新たな発見に誘う。上映時間は約20分で、ナビゲーターは声優の梅原裕一郎が務めている。 内覧会の冒頭、挨拶に立ったNHKメディア戦略本部・専任部長の村山淳氏は「NHKとNHKエデュケーショナルでは、7年前からチームを作り、ルーブル美術館で8K撮影を何度か行ってきた。そしてその8K映像を使いコンテンツを制作、様々な番組やイベント等でくり返し放送、上映してきた」とこれまでの経緯を語り、「もうこれで企画は何もないのではないか、と思っていたが、全く新しいルーブルの体験ができるコンテンツが完成した。8K映像は非常にリアルで、見た目以上の何かが伝わってくる不思議な力を宿している。私自身にも大きな驚きがあった」と述べた。そして「例えば『サモトラケのニケ』の羽のアップを見ると、繊細なその表現に圧倒されるのと同時に、作品を2千年以上前に作った人の存在感、後の時代にこの彫刻を愛でた人の存在感、そのようなものまでが伝わってくるような気がする。今回の展示は『空間を超えた映像アート体験』がテーマだ。東京にいながらにしてパリに行った気持ちになるとか、美術館に行っても普段は見ることができない細部が見られる、ということも含まれてはいるが、もっと大きな物語、作品を作った人の情熱や作品を伝えてきた情熱、これまで作品を守ってきた人の情熱といった、芸術をめぐり、人間が脈々と受け継いできた情熱の連鎖といったものまでが感じ取れるのではないかと思っている。今回の全く新しい展示を見ていただき、それぞれ感じること、発見することを楽しんでいただければ嬉しい」と8K映像への思いを語った。 監修を務めた東京大学大学院教授の三浦篤氏は「芸術作品を8K映像で記録することには、保存・修理に役立つとか、肉眼では分からないところが明らかになり、新しい研究に広がるなど、様々なメリットがあるが、教育普及の役割という面でも非常に役立つと考えている。先日、中高生を対象に開いたワークショップでは、この映像を見た子どもたちから、思いもよらない質問が数多くあがり、私自身にとっても大きな気づきとなった」とその意義を強調した。 NTT ArtTechnologyの国枝学社長は「8Kによるデジタル技術が美術作品の新しい観賞方法として広まっていくことを願っている」と話していた。▽開催概要名称:「8Kだから見えてくる ルーブル美術館 空間を超えた映像アート体験」日時:2月14日~2月26日/午前11時~午後6時(入館は閉館の30分前まで)会場:NTTインターコミュニケーション・センター[ICC](東京都新宿区西新宿3―20―2東京オペラシティタワー4階)参加方法:入場無料/日時指定予約制(オンラインチケットサイトから予約)主催:NHK、NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]