古今亭志ん朝の秘蔵音源をCD化

様々なジャンルのパートワーク(分冊百科)を刊行するアシェット・コレクションズ・ジャパンは2月14日、古今亭志ん朝をはじめ、昭和の名落語家たちによる至高の話芸を収録したCD付きマガジンシリーズ「昭和落語名演 秘蔵音源CDコレクション」の販売を開始した。
同マガジンは、民放AMラジオ局(TBSラジオ、文化放送、ABCラジオ、STVラジオ)の倉庫に所蔵されていた三代目古今亭志ん朝、六代目三遊亭圓生、五代目柳家小さん、八代目林家正蔵、十代目金原亭馬生らの放送用音源や未発表音源をCD化したもの。創刊号には、古今亭志ん朝がまだ朝太郎を名乗っていた1958年の「富久」と1962年の真打披露興行での「明烏」が収録されている。

本マガジンの創刊記念と創刊記念ラジオ特番放送の記者発表会が21日、東京・浜松町の文化放送で行われ、落語家の林家正蔵、林家たい平、タレントの毒蝮三太夫が会見に出席した。
林家三平を父に持つ正蔵は「志ん朝師匠がいなければ私は落語家になっていなかったと思います。父(初代林家三平)の芸風は楽しいけれど、騒がしくてあまり好きじゃなかった(笑)。落語家ってかっこいいなと思ったのは志ん朝師匠が初めてです。その後、私が落語家になってからは、お互いに噺家の倅として、いろいろなお話しをさせていただきました。着物の着方や趣味の車、立ち居振る舞い全てがかっこよかった」と回顧した。
入門した頃から志ん朝とともに前座として全国を回っていたというたい平は「志ん朝師匠からはいろいろ勉強させていただきました。“中途半端にだけは売れるんじゃないよ”とちょっと謎めいたことも言われました。それが今もずっと心にあります」としみじみ振り返った。
志ん朝の盟友ともいわれた立川談志とのつながりが深かった毒蝮は「談志さんは料理屋に行ってもすぐに店の人と喧嘩しちゃう。それで俺が後から謝りに行ったりして大変だった。だけど志ん朝さんのことを悪く言う人は一人もいなかったね。あれだけの落語の名人なのに珍しいよ」とエピソードを語った。
最後に正蔵は「生前の志ん朝師匠を知る落語家は今、少なくなっています。けれど、こうして絶頂期の落語をCDで聴けることは本当にありがたいなと思います」と述べ、たい平は「このCDを聴いてもう一度、言葉の美しさ、日本人の優しさを感じられるいいきっかけになると思います」と話していた。

なお、本マガジンに関するラジオ特番が文化放送、ABCラジオ、STVラジオ、TBSラジオで23、24日に放送される。林家正蔵がパーソナリティを務める「古今亭志ん朝を語る夜」は文化放送で23日午後7時から(ABCラジオでは24日午後6時。STVラジオでは24日午後8時)。毒蝮三太夫がパーソナリティを務める「ちょいといい噺を聴きたくなってきた今、ふたたびの古今亭志ん朝」はTBSラジオで23日午後8時から。