イノベーションを常に紹介できる場に

デジタルイノベーションの総合展「CEATEC」が今年も2024年10月15日(火)~18日(金)の4日間にかけて、幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区中瀬2-1)で開催される。開催25周年を迎えたテーマは「Innovation for All」。エグゼクティブプロデューサーとして2017年からイベントのプロデュースを続ける鹿野清氏に見どころや開催への思いを聞いた。
 ―開催25周年を迎えた振り返りと思いを
 2000年に「エレクトロニクスショー」と「COM JAPAN(コムジャパン)」という2つの展示会が一緒になって新生「CEATEC JAPAN」としてスタートした。日本のエレクトロニクス産業がデジタル化して最先端を目指し、欧米の家電メーカーが弱体化する中で、日本としての強みを出し切れた時期が2000年代前半だった。
 一方で、これまでライバルだった欧米の家電メーカーに代わり、韓国をはじめ東アジアが台頭し、特に価格の面で競争が厳しくなった。日本のシェアも下がり、先が厳しくなる中、IT(インフォメーションテクノロジー)がスタートし、世の中を変え始めた。象徴的だったのがPC(パーソナルコンピュータ)。日本のエレクトロニクス産業を救ったのがITだった。
 その後、スマートフォンが登場してITエレクトロニクス業界が成長を続けることができた。日本の産業は全世界的に価格で対抗すると収益性は悪く、事業として衰退していく流れが続いていた。CEATECは一時期は20万人を超える来場者を記録していたが、ITエレクトロニクス産業を土台にした展示会だったため、事業の衰退とともに2014、5年ごろから出展企業数や来場者数が減る厳しい時期を迎えた。
 主催団体としてこの先を危惧する中で、常に先を見据える展示会、イノベーティブな技術やデバイスを見せる展示会であるべきとして、「CPS/IoT Exhibition」をテーマに選んだ。まだ走りの時期で、言葉としても馴染みがない中だったが、ITエレクトロニクス産業の羅針盤として新たに舵を切ったのが2016年だった。
 翌年からその延長線上で、「society5・0」を発信した。日本の将来を豊かで楽しく暮らせるようにするため、産業界がイノベーティブな技術や製品、サービス、ソリューションを導入して、皆さんに見ていただこうというコンセプトで、「toward Society5.0」にテーマに切り替えて今日に至っている。
 ―今年の開催テーマについて
 2000年から始まって2016年が一つの節目で、その後16年からこのコンセプトを延長してやってきて、その考え方は今日も変わっていない。幸いにして、我々を取り巻く環境は進化をしている。
 今年は、開催テーマを「Innovation for ALL(イノベーションフォーオール)」とした。2000年は一般消費者向けだったたが、今はBtoB事業として、企業を中心に産業界のための展示会をやっている。その産業界は、IoTデバイスの普及によって、ITエレクトロニクス産業のみならず日本のあらゆる産業、気が付けばITが入り込んでいない産業はないと思うくらいの状況となった。その意味で、あらゆる産業、あらゆる業種、あらゆる人々にイノベーションを展開していただき、それを皆さんで共に創る、「共創する世界」を実現する場を提供することを常に掲げるミッションとしている。
 ―ここ数年でAIの進化が高まった印象がある。今後の位置づけについて
 AIというものが本当に世の中に理解され、言い始めてから実はまだすごく短い。この数年、言葉が出たのはもっと前かもしれないが、話題になったのはこの1、2年くらい。特に個人的にはこの1年間の変化がすごく大きいと思う。これまでAIは特別なITの企業、あるいはソフトウェアの会社とかでないと使えない技術だったが、今は一般でもスマートフォンで使えるてしまうくらい身近な物になった。IoTデバイスは普及していく過程で、あらゆる製品や部門に組み込まれてつながるようになった。AIも同じような成長をしている。
 それもあって「オール」と言う意味が出来上がってきたと実感している。特に今年は、最も注目を浴びている生成AIを中心としたAI関連の技術製品、特にデバイスといったものにスポットライトを浴びせている。全ての業種、産業、人にイノベーションを作り上げていくための手段として欠かせないものがAI。展示会を通じて紹介、参画してもらいたいと考える。
(全文は10月11日付紙面に掲載)

この記事を書いた記者

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kobayashi
主に行政と情報、通信関連の記事を担当しています。B級ホラーマニア。甘い物と辛い物が好き。あと酸っぱい物と塩辛い物も好きです。たまに苦い物も好みます。